「3人くらい産むようにお願い」
「ひとさまの税金で老人ホーム」

 もちろん麻生氏以外にも、失言はまだ山ほどある。

「結婚しなくていいという女の人が増えている。お子さん、お孫さんには子供を最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」(2019年5月、桜田義孝前五輪相)

 お願いで少子化が改善するなら政治はいらない。

「結婚すれば、必然的に、必ずと言っていいほど子どもが誕生する。日本の国の礎は子どもだと考えており、新郎新婦には必ず3人以上の子どもを産み育てていただきたい」
「若いお嬢さんを捕まえて『まもなく結婚するんですね』と聞くと、たいがい『はい』と返事が返ってくるが、たまに『私はしません』という人がいる。『結婚しなければ子どもが生まれないわけだから、ひとさまの子どもの税金で老人ホームに行くことになりますよ』と言うと、はっと気付いたような顔をする」(2018年5月、加藤寛治衆議院議員/当日に謝罪して撤回)

「日本の国の礎は子ども」と言うのであれば、子どもの相対的貧困率が上昇傾向にある現状を変えるべきだ。「ひとさまの子どもの税金で老人ホーム」とは、まるで脅しである。

 これ以外にも「子どもを4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」(2017年11月、山東昭子元参院副議長)、「(人気芸能人の結婚について聞かれ)この結婚を機にですね、やはりママさんたちが『一緒に子どもを産みたい』といった形で国家に貢献してくれればいい」(2015年10月、菅義偉官房長官)といった失言からは、妊娠・出産は個人のものではなく、国家のために行われるものであるという意識がうかがえる。

 そのくせ、出産や子育ての負担やリスクは自己責任と突き放すのが、現在の政治に色濃い考え方のように見えてならない。