リモート会議だけでなく、それ以外の使い方も
~フリーボードのメリットとは?

 ホワイトボードアプリをリモート会議内で利用する場合には、リアルタイムで同期的な情報提示やコラボレーションを行うことが主眼となる。そのため、参加者に何らかの文書ファイルを閲覧してもらいたければ、話者がそのファイルを画面共有で開き、特定のWebページや動画を参照してもらいたい場合には、やはり話者が自分で開いた画面を共有するか、URLをコメント機能で参加者に送って対応しているのが現状だ。

 アップルのフリーボードも、他社のリモート会議プラットフォームと組み合わせて利用することは可能だが、自社ではそのようなプラットフォームを持っていない。そのため、フリーボードと他のホワイトボードアプリの機能を比較すると、異なる立ち位置が見えてくる。それは、リアルタイムコミュニケーション時の使い勝手はもちろん、リアルタイムではない非同期的なコラボレーションも重視した機能設計になっているということだ。

 たとえば、他のホワイトボードでは直接読み込むことができない動画も配置でき、その場で再生できたり、任意のWebページのURLを自動的にサムネイルとして表示して、そこから参照元のページにジャンプしたりできる。さらに、他のアプリで作成されたファイルも特殊なもの以外はサムネイルとして配置でき、そこから対応するアプリで元ファイルを開くことも可能である。

「ホワイトボード」は動画を配置したり、ハイパーリンクを貼ることも可能。リモート会議用プラットフォームではないための自由度と思われるフリーボードは動画を配置したり、ハイパーリンクを貼ることも可能。リモート会議における利用以外にも、単独で非同期的な共同作業を行うことを意識した仕様といえる Figure by K.O. 拡大画像表示

 このような機能を持つことで、フリーボードは、個人がさまざまな情報をまとめて整理したり、そのままプレゼンテーションに利用したりすることはもちろん、ボードを共有した相手と、最大100人までリアルタイムもしくは非同期的な共同作業が行うことができるように考えられている。また、共有機能ではFacetimeのビデオチャットもサポート(最大人数は未確認だが、グループFaceTime時と同じ32人と思われる)されており、リモート会議からホワイトボードを呼び出すのではなく、ホワイトボード内にリモート会議を組み込むようなイメージでの使い方も可能となっている。

 冒頭でも触れたように、フリーボードは現時点ではアップル製品のみの対応だが、「Pages」や「Numbers」「Keynote」(編注:それぞれアップルのワープロ、表計算、プレゼンテーションアプリ)などと同様に、Webアプリ化されることも予想される。さらに、アップルは将来のAR環境を前提にフリーボードを進化させていくのではないかとも思われ、今後の展開が楽しみなプラットフォームといえるだろう。