機能的には、ごく単純なスマートフォンアプリではフリーハンド描画のみというものもあるが、より本格的な製品では、そのような描画に加えて、テキストフィールド(テキスト入力エリア)、付箋スタイルのメモ、図形、画像、スタンプなどを利用できるのが一般的だ。たとえば、ZOOMのホワイトボード機能は、テキスト、フリーハンド描画、スタンプ機能のみだが、Google JamboardやMicrosoft Whiteboard、そしてアップルのフリーボードも、上に挙げた6つの要素を網羅している。さらにMicrosoft Whiteboardでは、ブレーンストーミングやプロジェクトプランニングなど、目的に応じてホワイトボードを使うためのテンプレートも選択して配置することができる。

グーグルのホワイトボードアプリ「Google Jamboard」グーグルのホワイトボードアプリ「Google Jamboard」 Figure: Google 拡大画像表示
マイクロソフトのホワイトボードアプリ「Microsoft Whiteboard」マイクロソフトのホワイトボードアプリ「Microsoft Whiteboard」 Figure: Microsoft 拡大画像表示

ホワイトボードアプリに共通する
6つの基本機能

 そこでまず、上記6つの基本機能についてフリーボードの画面を使って簡単に説明し、他社製品の代表例として、Google JamboardとMicrosoft Whiteboardに異なる点があれば、その都度言及することにしてみる。

(1)フリーハンド描画

 フリーボードの場合、フリーハンド描画はiPhone、iPod touch、iPad版のみでサポートされ、Mac版では省かれている。これは、マウスやトラックパッドでフリーハンドの線を描くのは現実的ではないという判断からと思われる。

 また、iPhone、iPod touchでは指先で利用できるが、iPadではツールパレット内の設定から「指で描画」をオンにしない限り、Apple Pencilなどの専用ペンでのみの描画となる(iPadでも他の操作は指を使うことができ、「指で描画」がオンでもペンによる描画を併用可能だ)。実際に使ってみると、フリーボードを利用するうえで最も適した環境は、iPadとApple Pencilなどのペンとの組み合わせであり、アップルも教育現場などでのiPadとフリーボードの活用をにらんで、戦略的に開発されたアプリであるとの印象を受ける。

アップル「ホワイトボード」のフリーハンド描画画面アップル「フリーボード」のフリーハンド描画画面 Figure by Kazutoshi Otani 拡大画像表示

 意外なのは、アップル純正のメモアプリなどでは利用できるフリーハンド描画の整形(たとえば、描画の終点でペンや指をそのまま留めておくことで、多少曲がった線でも直線にしたり、ゆがんだ円を正円や楕円に直したりする)機能がない点だ。これはGoogle Jamboardも同様で、Microsoft Whiteboardは直線に関してのみ整形機能がある。ホワイトボードアプリでは、操作の単純さを狙ってフリーハンド描画中心にとどめている可能性もあるが、今後のバージョンアップでサポートされることを望みたい。

 なお、Google JamboardのWebアプリのみフリーハンドで描かれた線が背景に固定され、消しゴム機能で消すことはできても、後から個別に選択して移動などを行えない点は不便である。