低年齢層も親しめる取っつきやすさ
ゲーマーの心をつかむアプローチ

 育成したポケモンは、戦わせる。そもそも、ポケモン同士を戦わせるのが主な目的で、かなり修羅な世界観である。

 そこそこに育てればゲームは一応クリアできるし、それで一定の満足感や達成感を得られるのだが、「プレイヤーvsプレイヤー」の対人戦の存在が、ポケモンを奥深いものにした。さまざまな戦術が研究され、青年と大人が真剣にハマれる懐の深さを、ポケモンは備えたのであった。

 小学生くらいの年齢になっていれば、この「本格的な対戦」を、それっぽいレベルで楽しむことができる。そしてその「本格的に楽しんでいる気分」は、実に深い熱中へといざなう。

 また、ポケモンシリーズは、かつてゲームボーイやニンテンドー3DSなどの携帯ゲーム機がハードであり、プレイヤーがゲームを持ち寄って気軽にワイワイ遊べるという特徴を備えていたので、熱が伝播しやすかった。

 一方で、これは比較的最近のポケモン(ゲーム)に見られる傾向だが、ポケモンとのコミュニケーションや、ポケモンの魅力の描写にスポットライトが当たるようになってきた。これは「ポケモンは好きだが戦闘はほどほど」というプレイヤーをしっかり囲い込む効果があったように思う。我が家の4歳の娘も、ゲーム内でピカチュウをなでて喜んだり、「このポケモンがかわいい」と言って連れ歩くポケモンを取っ換え引っ換えして楽しんでいる。

 ポケモンたちのデザインも、この上なくいいあんばいである。男女から等しく愛され得る意匠であって、知り合いの小学生男子が「○○がかっこいい」と言って熱を上げるのはもちろんのこと、小学生女子のめいがプレゼントに所望するのは『すみっコぐらし』(最近の女子児童向け最強コンテンツ)関連グッズかポケモンかのほぼ2択となっている。

 ポケモンにそれぞれ生態が設定されているところも、実はかなりポケモンを強いコンテンツたらしめている。ポケモンは実に多くの種類がいる。最初の頃(「第一世代」と呼ばれる)こそ151種類だったが、徐々に増え、今では1000を超えるそうだ。これにそれぞれ生態がある。

 ゲーム内ではポケモンを集めていくと徐々にコンプリートに近づく図鑑が配布されている。学術的な探求心や、収集する楽しみを満たしてくれるのだ。

 要するに、近年のポケモンはさまざまなタイプのゲーマーを満足させる全方位的なアプローチをしている。全年齢的・男女向けであるから、人気が出るべくして出たゲームであるといえよう。

 そのポケモンが、ここに来てさらに盤石の態勢に入ってきている。ポケモンを遊んで育った世代が親になり始めている。親は遊べるコンテンツとしてポケモンを子どもに紹介するし、自身が現役でポケモンを遊ぶこともある。

 こうなると強い。親が好きなものを子どもは好きになりやすく、さらには親のお墨付きで、なんなら自分がポケモンで遊ぶことで親が喜ぶ。ポケモン人気がますます強化される流れである。筆者宅がまさしくそれで、妻がポケモンのゲームやアニメで育ったので、娘に紹介するうちに娘も気に入って……となった。