中堅監査法人のひびき監査法人に対し、公認会計士・監査審査会(CPAAOB)は行政処分などの措置を講ずるよう、金融庁に勧告を出した。今回CPAAOBは、中小監査法人で当たり前のように行われているグレーな“慣習”に切り込んでおり、今後、同様の勧告が下される可能性もある。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

検査官に黙って監査調書を差し替え
中堅ひびき監査法人に処分勧告

ひびき監査法人に処分勧告、中小監査法人にはびこる「悪しき慣習」が明らかに写真:西村尚己/アフロ

 ひびき監査法人は監査法人業界11位で、2022年6月期の売上高は16億2794万円。22年9月時点で公認会計士など197人が在籍している。被監査会社数は合計136社を数え、きんでんやニプロ、セーレンなどの上場企業の監査も担っている。

 公認会計士・監査審査会(CPAAOB)の勧告を受けて、金融庁は今後、具体的な行政処分を検討する。過去の例を見ると、半年以内に業務停止や業務改善命令などの処分が出されることが多い。

 CPAAOBが勧告の理由として指摘したのは大きく二つ。一つは「当監査法人の社員及び職員は、職業的専門家としての誠実性・信頼保持の重要性に対する認識が著しく不足している」など、業務管理態勢の不備だ。

 そして、もう一つの品質管理体制は、特に問題があると断じている。その背景を探ると、中小監査法人が抱える根深い問題があった。