「とくに目立つのが、本人の意向に沿わない高額なプランに契約してしまうケース。たとえば、SNS広告や美容系のクーポンサイトに『50%引きキャンペーン』と書かれていたサロンに行くと『そのキャンペーンは終了した』と言われ、最終的に数十万円のコースを契約してしまった、という事例も多いです。そもそも、終了しているキャンペーンを掲載しているのも問題ですし、安さだけを強調して自社の“サービスの質”から視線をそらすような広告は『有利誤認表示』と呼ばれ、規制の対象になります」
脱毛サロンの多くが、法律に抵触しかねない内容の広告で集客している、と山岸氏は指摘する。
「SNSなどに表示される脱毛サロンの広告を見ていると、景品表示法に関する知識が不足していると感じますね。医療脱毛とは異なり、サロンを開くには国の許認可も資格も不要。個人経営のサロンも多く、脱毛マシン1台あればマンションの一室でも開業できます。参入障壁が低く、競争が激しくなった結果、お客さんの興味を引くための広告内容が増えているようです」
成年年齢の引き下げにより
契約トラブルが増加の恐れ
そのほか、サービスの一つとして定着しているサブスクリプションを導入したサロンでも、トラブルが発生している、と山岸氏。サブスクといえば「毎月定額を支払えば○○し放題」が魅力のサービスだが、美容脱毛の場合は少々事情が異なるという。
「美容脱毛は、毛が生え変わる周期(毛周期)に合わせて施術をしなければ、効果を期待しにくいので、期間をあけて施術を行うのが一般的。そのため、月に何度も施術を受けるものではありません。もしも利用者が、ほかのサブスク同様に『脱毛し放題』と思って1年の契約をしても、結局6回ほどしか通えず、数カ月はお金を払うだけになってしまった、という話もあります」
利用者が契約内容を正しく把握していなかったためにトラブルに陥った例は、ほかにもある。「チケット制」を取り入れている店舗で起きた事例だ。
「チケット制とは、期限付きのチケットを購入して、施術を受けるごとにチケットを消費していく料金システム。たとえば、1年で12回12万円というコースに契約して、4回分しか使わずに解約したとします。『特定商取引法』という法律では、途中で解約をした場合は使用分を償却して、残りの料金を返金するように定めているので、残りの8回分は返金対応となります。ただ、12回12万円といわれると『1回分が1万円で、残り8回の返金は8万円か』と考えるかもしれませんが、サロン側が1回目の施術料金を高額に設定しているケースがあるんです」