職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。

鈍感な上司がついやってしまう「NG行為」ワースト1Photo: Adobe Stock

「自分だけが立っている」という違和感

 上司に呼ばれて、立ちっぱなしで長話をした。
 そんな経験は誰もがしたことがあるでしょう。
 そうでなくても、同僚にちょっと相談に行っても、一方は座っていて、もう一方は立ったままという状況になりがちです。

「これは長くなりそうだな……」

 というときに、サラッと、

「座って話そうか」
「そこのイス、座りなよ」

 と声をかけられると、とても嬉しい気持ちになります。

 立っている本人が気にしていなくても、周りから見ると、自分が相手を立たせているようにも見えます。
 自分だけが座っている状況を察して、さりげなくイスを勧められると素敵ですよね

相談に来た人の「心の壁」

 ぜひ、後輩や同僚があなたのもとに相談に訪れたら、近くのイスを差し出してください
 同じ目の高さは、相手に安心感を与えます。

「いまこの瞬間はあなたの話に集中しています」という、聞く姿勢を伝えることにもつながります。
 もしかすると、締め切り直前の仕事を抱えていたりして、すぐに相談に乗れないこともあるでしょう。
 そんなときは、

「10分待ってもらえる? 後で声をかけるから」
「いま5分くらいなら時間があるけど、それでいい?」

 と伝えましょう。
 そして相談を受けるときは、お互いにとって準備が整った状態にします。

 おそらく、相談してきた人も、タイミングを見計らったり、言葉を選んだりして、自分の心の壁を越えてきたはずです。その思いを考えれば、「立たせたまま話を聞く」「忙しいからと断る」なんて対応はできないでしょう。
 それなのに、鈍感な上司は、つい相手を立たせたままにしてしまうんですよね。

アドバイスは「少なめ」に

 また、アドバイスをするときも、やりすぎないことです。
 嬉しいあまり、知識のお披露目大会になってしまうのは避けましょう。
 相手は簡単な助言をもらいたかっただけなのに、滅多に起きない仮定の話にまで話を広げ、相手を疲れさせていないでしょうか。

 フィードバックもアドバイスも、「短く」が鉄則です
 いざとなったら気軽に相談に乗ってくれる先輩がいてくれるから、若手はのびのび仕事ができるのです。

鈍感な上司がついやってしまう「NG行為」ワースト1

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー。
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。