趣味・雑学分野の資格を組み合わせて「関心の幅」を表現する

 当然ながら、資格や検定にはエントリーシートに“箔を付ける” 効果もあります。エントリーシートや履歴書には「資格欄」がありますが、ここは「持っている資格をただ羅列して全部書く」欄ではありません。資格を使って「自己表現」をするための枠なのです。
 
 大切なのは、ここでも「企業と自分をつなぐストーリー」を意識し、志望動機の明確な裏付けとなる資格や、自分の強み・個性の表現につながる検定を取捨選択して記載することです。何百、何千というエントリーシートから、採用担当者に「この人に会ってみたい」と思われる資格欄になるよう工夫しましょう。
 
 特に、新卒の採用試験では、能力だけでなく「組織のメンバーとしてふさわしい人材かどうか」が重視されます。もちろん、難関国家資格がいくつも並んでいる資格欄は目を引きますが、趣味や雑学分野の資格・検定が併記され、ユニークな人物像が伝わってくる資格欄も同じくらい魅力的です。

 ですので、個人のキャラクターや嗜好(しこう)を端的に示す、趣味系や雑学系分野の資格・検定もぜひ資格欄に記載してください。企業が志望者の人物像を幅広く描けることで、より強く自分を印象づけることに役立ちます。むしろ、一見まったく関係のない資格を複数併せ持つような、興味関心の幅の広い人材こそが、新しいビジネスを創造するポテンシャルを秘めているともいえます。

 例えば、猫の行動の意味や体の仕組み、猫種や健康の知識などを問う「ねこ検定」がありますが、この検定の監修者の中には「一級建築士」の方がいます。「なぜ建築士がねこ検定を?」と私も最初は疑問だったのですが、この建築士さんは猫と幸せに共生するための住宅の建築案件を手掛けている方なのです。
 
 この方のように、例えば「建築や不動産」と「ペット」など、一見まったく異なる分野の資格・検定を持ち併せる就活生がいたとすれば、面接の際に、「買い物客が連れているペットを大切に扱う施設を併設して、集客につなげる」(小売など)、「ペットが走り回っても傷がつかない住宅用新素材の開発」(素材、製造など)といった志望動機を組み立てることができるでしょう。

 ちょっと変わった資格を生かして、志望する業界の新たな一面や新規ビジネスを切り開くようなストーリー仕立てができれば、強力なアピール材料になります。

 また、入社試験を受ける企業が、独自に資格・検定を主催していることもあります。そうした資格・検定の有無は要確認です。例えば、日清製粉などが主催する「お好み焼き検定」、明治が主催する「チョコレート検定」など、近年、企業が自社の商品にまつわる検定を創設したり、検定に協賛・協力していたりするケースが増えてきています。

 志望する企業の資格・検定を取得しておくことは、志望者としての最低限の“礼儀”でもあります。もしそうした検定を持たない企業ならば、「私が独自の検定をつくって、御社のブランド力のさらなる向上に貢献します」というアピールをしてみてはいかがでしょうか。入社したい熱意は、それだけでも十分伝わると思います!

(資格・勉強コンサルタント 鈴木秀明)