その後も不動産価格の下落は続き、金融機関から不動産事業者への多額融資が焦げ付くケースが増えた。そして、1996年に当時の橋本龍太郎内閣が提唱した金融システム改革「金融ビッグバン」の後に倒産が相次いだ。これが2度目の「倒産続出期」だ。

 不動産価格が高騰していたバブル経済下では、不動産事業者は「この世の春」を謳歌していたはずだった。しかし、上記の2つの期間中は、そこから一転して多くの会社が破綻した。

 特に、用地を仕入れ、開発をするデベロッパーの経営は厳しかった。不動産業には資金を借りる事業と借りない事業があるが、「借りる事業」の代表はデベロッパーだ。

 このビジネスを専業でやっていると、融資に上限を付けられる、負債比率を制限されるといった要因で、金融機関から資金を借りられなくなった時点で資金不足が生じる。最悪の場合は、そのまま倒産に至るというわけだ。

 一方、資金を借りない事業は仲介や管理である。これらのビジネスは、「大もうけ」することはないが、いつでも安定した売り上げを得られる。不動産事業では、これら2つの事業をバランスよく維持しないと金融政策に翻弄されてしまう。

不動産事業者への資金の流れは
「日銀短観」で確認できる

 一般消費者は、こういった不動産事業者への資金の流れを、四半期に一度発表される日銀の「短観」(全国企業短期経済観測調査)で確認できる。

 短観では、金融機関が貸し出しを緩和している(増やしている)か、引き締めている(減らしている)かが、業種や事業規模ごとに「金融機関の貸出態度」という経済指数で説明されている。

 この指数は、調査対象となる約1万社の企業が、金融機関からの貸し出しについて「緩い」と答えた割合から「厳しい」と答えた割合を引いて算出している。

 緩和はプラス、引き締めはマイナスで計算され、最大値は100、最小値は-100まで動き得る。その数値を追っていくと、マンション価格の動向をつかむことができる。

 2022年12月に発表された、不動産業界の最新の数値(調査対象は大企業、以下同)は10であり、まずまずの高水準だといえる。だからマンション価格が高いわけだ。

 一方、先述した2度にわたる「倒産続出時期」の貸出態度指数は極端に低く、総量規制が施行された半年後の1990年12月には-80という過去最少の数字を記録している。

 この数字の恐ろしさは、その半年前に0だったところからの急落にある。すなわち、金融機関が貸出態度を豹変させたということだ。総量規制という名のサドンデスが、ある日突然やってきたのだ。

 なお、この-80は5四半期続いた。この地獄は、光明を見いだすことができないほど真っ暗で長かったと推察される。