「金融ビッグバン」後の強烈な引き締め期では、1998年3月に-77を記録している。この際も底ばいが1年続き、1998年12月に-75、1999年3月に-58となり、2000年3月に0に戻すまで2年かかっている。

 この2回がいかに強烈だったかは、リーマンショックの時と比較すると分かる。リーマンの時も不動産事業者の倒産は多かったが、筆者の体感ではこの2回ほどではなかった。「金融機関の貸出態度」を確認してみると、その見立てが正しかったことが分かる。

 2008年9月11日に起きたリーマンショックの同月の貸出態度指数は-6であり、そこから半年後に-32まで急落した。確かに厳しい数値ではあるが、先ほどの-80や-75と比較したら半分以下の数値である。

 不動産事業者にとって、総量規制や「金融ビッグバン」はリーマンショックの2倍以上のインパクトだったといえる。ただ、リーマンショック後に指数が0に戻ったのは2010年12月であり、2年以上を要した。

不動産業界の「悪夢の記憶」は
繰り返されるのか?

 リーマンショックも含めると、不動産業界における「悪夢の記憶」は1990年、1996年、そして2008年の3回にわたって関係者の脳裏に刻まれている。

 その後は大規模な異変が起きなかった中、「異次元の緩和策」を続けてきた日銀の黒田東彦総裁が退任するというビッグニュースが発表されたことから、「そろそろ悪いことが起こるのでは」と戦々恐々としている業界関係者もいる。

 だが実際は、「穏健な調整肌」とされる植田氏が任命されたことで、金融緩和は継続される公算が大きい。当面の間マンション価格は高いままだとみられ、一般消費者にとっては「高嶺の花」の状態が続きそうだ。

 とはいえ、従来の路線の継続や、これまで以上に大規模な金融緩和は望めなさそうだ。黒田氏による異次元の緩和策は、10年が経過しても思惑通りのインフレを実現できておらず、政策的には失敗という評価になるからだ。

 植田氏は今後、次の方向性を模索することになるだろう。冒頭で述べた情報を踏まえると、その方向性は性急な金融引き締めではないと思われる。だが、「不動産業界限定」で矛先が向き、非庶民的な水準にある現在のマンション価格水準が調整される確率はゼロではない。

 持ち家価格の高騰で、都市部の30~40代の持ち家率は大幅に低下している。買いたくても買えないほど高く、持てる者と持たざる者との格差は広がる一方になっている。

 国民の「マンション価格が高すぎる」という悲痛な声が、価格調整のきっかけになるかもしれない。