インフレ&金利上昇到来! 騙されないための投資術#8

元手65万円から資産150億円を築いた個人投資家の片山晃氏。日本株には引き続きチャンスが豊富にあると分析する一方で、「以前とは銘柄選別の方法が変化している」と告白する。特集『インフレ&金利上昇到来!騙されないための投資術』(全22回)の#8では、片山氏が注目する中長期のテーマから投資戦略、さらには個人投資家へのアドバイスまで、ロングインタビューをお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

今年はマクロよりも企業の変化対応力
中小型株に投資する優位性は消失?

――金融政策の変更が注目される中、今後の日本株の見通しについて教えてください。

 日本株には引き続き豊富な投資チャンスがあると考えています。ただし、今後の投資環境は、アベノミクス以降の環境と比較すれば緩やかな逆風であることを意識する必要があるでしょう。甘えたポジション取りをすると、厳しく罰せられる相場になってきています。

 銘柄選択については、昨年はマクロ環境に気を配ることが重要で、パフォーマンスにつながる1年でした。グロース株が厳しい一方で、資源価格や為替変動の恩恵を受ける企業が注目されました。トップダウンのアプローチが非常に有効でした。

 ですが、今年は個別企業の世の中の変化への対応力や、潜在的な競争力に目を向けた方がリターンに結び付く年になると考えています。マクロ環境にフォーカスするのも一つのブームであり、ずっと有効な戦略ではありません。

 世の中が大きく動くときは、それにいち早く気が付いて対応してきた会社とそうでない会社が、同じ業種に属していても差がつくわけです。典型的なところでは日本製鉄とJFEホールディングスですね。

 業績も株価も基本的には同じ動きをする会社だったはずですが、今はものすごい差がついています。同じ業界でも明暗が分かれるということが、この四半期決算でも表れてきています。

――片山さんは「時価総額の小さい割安成長株への集中投資」で資産150億円を築きました。個人投資家の強みについてどう考えていますか。

 以前は個人投資家の強みを生かすためには、中小型の割安成長株を狙うのがいいと考えていました。ただし、現在は少し見方が変わっています。

狙うべき銘柄について「見方が変わった」と語る片山氏だが、その真意は?次ページでは片山氏が注目するテーマや売買戦略、さらには個人投資家に向けた「大きく負けずに、手堅く勝つ」ためのアドバイスまで5000文字以上のロングインタビューを公開する。