大学生協アプリ「不具合続出」で見えたAI社会の落とし穴、失われる当事者意識Photo:PIXTA

大学生協の電子マネー導入
登録手続きできず決済に長時間

 日本は電子マネーやデジタル認証など、IT技術の仕事や日常生活への浸透が遅れ、それが社会や1人当たりの生産性の停滞につながっているといわれてきた。

 コロナ禍でいや応なくオンライン授業・会議が学校や職場に導入され、それに伴ってペーパーレス決済など、各種手続きのオンライン化が進んでいることは、遅れを取り戻す好機だといわれている。

 しかし、人間の介在による“無駄”を省いて、“中立かつ効率的なAI”の処理に委ねればいい、という発想に問題はないのか。効率性のためのオンライン化を一方的に進めていいのか。

 新年早々、少なからずの大学で「大学生協アプリ」での決済に時間がかかったり登録手続きで支障が出たりという問題が起きた。

 銀行のATMや航空会社のオンラインシステムのトラブルなどもしばしば起きてきたが、デジタル技術やAIがさまざまな情報処理を担う時代に、そのトラブルに人間がどこまで責任意識を持つことができるのか、持つべきなのかははっきりしていない。

 デジタル社会で考えるべき新たな課題だ。