アメリカで今起きていること
女性に対する敵意・憎悪が増大

 実はアメリカでは近年、恋愛や結婚を望んでいるのだがパートナーがいない、身もふたもない言い方をすれば「モテない男」が増えている。日本ほどではないが、成人の未婚率は38%で、1990年より10%アップしているのだ(Forbes「米国の成人の38%は独身、1990年の29%から大幅に増加」)。

 そして、その中には女性に対して露骨な敵意を剥き出しにする、「Incel」と呼ばれる人がいて問題になっている。ちなみに、「Incel」はInvoluntary celibate(不本意ながら禁欲を強いられている)の略だ。

「Incel」は自分たちがモテないのは、女性側に問題があると考えている。つまり、イケメン男性や、金持ちの男性に惹かれるような女性たちが世の中に多いので、金がなくてイケメンでもない自分たちが不当な扱いを受けている――と被害妄想に取りつかれているのだ。そのため、「Incel」は時に無差別銃撃事件などを起こして深刻な社会問題となっている。

 日本は、アメリカ以上に独身男性の割合が高く、特に若い男はアメリカ以上に低賃金だ。「Incel」が大量発生してもおかしくない環境というわけだ。こんな状況で、男性の“疑似恋愛”の相手であるセクシー女優や元アイドルが、「デート代は男性がおごるべき」とSNSで主張したら、貧しい若い男にはどんな感情が湧き上がるのか想像してもらいたい。

「勝手なこと言いやがって」「そんなことを言う女がいるから、オレたちのような男はいつまでも彼女ができないのだ」という感じで全方向から叩かれてしまうではないか。