一般的に、多くの学生はそれまでいち消費者として、企業が創り出したものを享受していればよい存在でした。しかし、就活では一転、自分が「価値の作り手」として、企業に価値を提供する側に立ち考えることになります。自分がやりたいことを見つけられない場合、得意なことを仕事にして力を発揮してみるという選択肢もあります。

 自分の得意なことであれば、周囲の人から感謝され、必要とされる確率は高くなります。やりたいことを仕事にできるのが一番だと思われるかもしれませんが、いざ就活を進める中で気づきを得て考えが変わることは非常に多く、気にしすぎる必要はないのです。

 自分は何が得意か、企業に何をもたらすことができるかと聞かれて、「こういうことができる。なぜなら自分にはこういう実績があるからです」という一貫したストーリーを語ることができれば、ただ「御社でこの事業をやってみたいです」と伝えて終わるより、面接官は具体的にイメージを膨らませられるのではないでしょうか。

 就活の初期段階では「やりたいこと探し」になりがちで、それだけで疲れ切ってしまいますが、何が得意か、どう歩みたいかをしっかり整理して企業にアピールできれば、聞き手にもわかりやすく話せるはずです。自分のやりたいことだけでなく、得意なことやモチベーションの源泉などを整理するのが自己分析です。

子ども時代の話をすることが
自己分析のサポートに

 そして、この自己分析の過程にこそ、保護者の出番があります。子どもはあまり自分の幼い頃のことを覚えていないかもしれません。過去に子どもがどんなことに興味を持っていたか、どんなことにやり甲斐、やり甲斐や成長実感を覚えたか。過去の経験に則って整理すると納得感がある自己分析ができますが、その過去の話ができるのは一番近くで観察していた保護者に他なりません。

 心理学のモデルのひとつに「ジョハリの窓」という考え方があります(下の図参照)。自分が知っている(認知している)自分、知らない(認知していない)自分、他者が認知している自分、他者が認知していない自分という4つのパターンに分けたとき、自分が知らなくて他者が認知している自分を「盲点の窓」といいます。

就活生が最も欲しい支援とは?「実は保護者との対話を嫌がっていない」

 保護者はこの盲点の窓にあたる本人が気づいていない、良さ、個性、志向を教えてあげられる存在なのです。過去の話から軸をつくって、それを肉付けしながらより確固たる軸にブラッシュアップする。その過程で、保護者は子どもの小さいときの原体験、エピソードをぜひ話してあげてください。