最近まで、内定をもらって本人もその企業に入りたいのに親が「そんな会社やめておきなさい」と言う「親ブロック」や、企業が親にまで内定受諾の意思確認をするという「親カク」という言葉も話題になっていました。これは前述のように、親の影響が大きいということの裏返しでもあるでしょう。
ただ、私自身が見聞きしている中で、「個性を尊重してくれた」ことがよかったと回答する人が多いことからも、最近ではあまりこうしたことはないようです。いずれにせよ、子どもが受けようとしている会社や子どもの就職先については、本人が「自分で選んだ」と思えることが大事です。保護者が「そんなところ」と全否定をしてはならないのは、言うまでもないでしょう。
オンライン化に伴う
環境、生活音対策が重要
連載第2回でお話したように、就活はオンライン化が進んでおり、ネットワーク環境と生活音対策も大きな焦点となっています。保護者は、家庭の事情に応じて、ネットワーク環境の整備、生活音にどう対応するかなどについて、事前によく子と相談し、事情に応じた対策をしておく必要があります。
オンライン就活についてよく聞かれた意見として、「保護者が家にいて、隣で面接の受け答えを聞かれていて嫌だった」という人がいる一方で、「面接後にアドバイスしてもらえて助かっている」という人もいました。これは親子の関係性にもよるでしょう。
「保護者もテレワークなので、家の中で在宅ワークと面接が重なって個室がない場合はやりにくい」「時間帯によってWi−Fiがつながりにくい」「生活音が気になる」「面接中に保護者が部屋に入ってきてしまい、集中力が切れた」などの声もありました。こうした点も含めて、サポートの在り方を事前によく話し合っておくべきでしょう。
保護者ができることには、以上のようなサポーターとしての役割と共に、社会人の先輩としてのアドバイザーの役割もあります。特に学生の就活における悩みを聞くと、「企業・業界研究不足、自己分析不足でつまずくことが多い」という傾向があります。就活は、自分が納得感を持って入社する企業を選ぶことが大切です。そのためには、しっかり事前準備をする必要があり、中でも自己分析を入念に行うことが重要です。
よく「やりたいことがわからないから就活をうまく進められない」という声を聞いたりします。「やりたいものがない」という場合には、これからの人生、「自分がどうありたいか」を考えることから始めるという手もあります。また、就活では、どうしても仕事としてやりたいことだけに意識が向きがちですが、やりたいことだけではなく自分が得意なことを改めて棚卸しすることが、ひとつ駒を進める秘訣です。