『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
自分のやりたいこと、というのが、よくわからないです。自分が何を求めているのか、整理する方法、見つける方法的なものは、ないでしょうか?
やりたいことではなくまずは「やるべきこと」に手をつけてみてください
[回答]
私としてはめったに使わない言い方をしますが、「自分のやりたいこと」を探すのは「時間の無駄」だと考えます。
それどころか、ありもしないものを探して、見なくていい深淵を覗き込むことになり、最悪心が壊れます。
代わりにおすすめできるのは「自分ができること」を増やすことです。やったことのないものにチャレンジしてもいいし、得意なことを伸ばしても良い。「できること」を増やすのは現在の自分と陸続きで現実的であり、具体的で取り組みやすいでしょう。
こうして増やしていくうちに、あなたの「できること」の一部が、誰かの「やってほしいこと」と重なることがあるかもしれません。その「重なること」をやるのが嫌でなかったら、それはあなたにとって大切なもの、たとえば「天職」になるかもしれません。
「自分のやりたいこと」とは、実のところ「希望」の別の言い方です。そして多くのヒトは「やればできる(頑張ればなんとかなりそう等)」と思うことができてはじめて、希望を抱くことができます。
「できないことだらけ」なら、希望を持つことは当然ながら難しい。この状態で「やりたいこと」を見つけようとするのは、湿った生木に火を付けるようなものです(つまり大変なだけでなく、うまくいきません)。
「できること」が何も(ほとんど)なかったら? その場合は「やるべきこと」をやるしかありません。楽しいことではないかもしれませんが、「やるべきこと」の一部はあなたの「できること」とつながっている可能性が高い(なにしろ「できない」なら「やるべき」だとしてもどうしようもないので)。
実際には「何もできない」ヒトはいません。
呼吸することもできれば、瞬きだってできる。考えることも、なにか学ぶことだってできるかもしれない。
けれど「今の自分にできることなんてつまらない」と思っているヒトは少なくありません。
こうして見過ごしている「できること」は育てていけば、つまらなくないことに成長するかもしれません。あるいは何かの苗床に、肥料になるかもしれません。
「希望」が花開くような未来は、いまここにある、あなたが見過ごしている「できること」から始まります。