医療費控除を利用できるのは、1月1日~12月31日までの1年間に、家族全員の医療費の合計が10万円を超えた人で、医療費の総額から10万円を差し引いた部分が所得控除の対象になる。なお、年金生活者などで、総所得金額(収入から基礎控除や給与所得控除などを差し引いた額)が200万円未満の人は、医療費が総所得金額の5%を超えると申告できる。

 かかった医療費の総額から、公的な医療保険や、民間の生命保険などから補てんされたお金があった場合は、それも差し引いたものが控除額だ。この控除額に、所得に応じた5~45%の税率を掛けたものが、医療費控除で取り戻せるお金の目安となる。たとえば、医療費の総額が60万円で、所得税率10%の人が医療費控除をした場合、5万円が還付される可能性がある(民間保険などからの給付がなく、その他の所得控除を受けていない場合)。

 ただし、医療費控除の申告をする際には、自分や家族が使った医療費を証明する「医療費控除の明細書(内訳書)」を作成する必要がある。

マイナポータル連携の対象は
公的な医療保険の医療費のみ

 以前は、医療費を使ったことを証明するために領収書を添付する必要があった。だが、2017年分の申告から領収書の提出は不要になり、代わりに義務付けられたのが「医療費控除の明細書(内訳書)」の添付だ。領収書は、税務署には提出せず、自宅などで5年間保存すればよくなった。

 明細書は、医療費を使った人や支払先、金額などを一覧表にしたもので、健康保険組合から発行される「医療費通知(医療費のお知らせ)」を添付すれば、その分は明細書への記入を省略できる。

 このように、医療費控除の申告の手間は徐々に軽減されてきたが、さらに今年の申告からは、「マイナポータル連携」による自動入力を行えば、この明細書の作成の手間がさらに省けるようになったのだ。