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2022年末『日経新聞』が「職場がホワイトすぎて辞めたい 若手、成長できず失望」という記事を掲載し、大きな話題を呼んだ。実際にそうした理由で安定した大手企業を去る若者もいるという。彼らはなぜ、ホワイトな職場に失望し、去っていくのか。その理由と、職場が取るべき対策に迫る。(清談社 真島加代)

2日に1日は
仕事がなく不安に

 仕事の負荷が軽く残業もない、いわゆるホワイトな職場。若手時代に残業が当たり前だった中高年世代にとってはうらやましい環境に思えるが、それでも職場を去る若者の存在が注目を集めている。

 リクルートワークス研究所の調査(*)では、大手企業の新入社員約36%が「職場がゆるい」と回答し、現在働いている会社・組織でどれくらい働きたいかを訊くと「すぐにでも退職したい」(16.2%)「2、3年は働き続けたい」(28.3%)との結果が得られたという。もちろん職場の“ゆるさ”だけが転職の理由とは限らないが、浅からぬ関係がありそうだ。

(*)…「大手企業における若手育成状況検証調査」(リクルートワークス研究所)/サンプルサイズ:2985/調査期間:2022年3月

 社会人2年目の秋に転職した近藤達也さん(仮名・25歳)は「ホワイトすぎて辞めたい、という気持ちに共感する」と話す。

「新卒で入社した企業では、インフラエンジニアをしていました。お客さまの機器に異常があれば対応し、現地に作業員をアテンドして指示をする、などが主な業務。勤務形態は、3勤3休で日勤と夜勤を交互に行い、夜勤の日はワンオペでした。ただ、職務上“異常が起きないこと”が前提だったので、あまり業務が発生しない環境だったんです」

 2日に1度は仕事がないまま終わる日もあった、と近藤さん。そうした毎日を送るなかで、さまざまな不安が膨らんでいったという。

「たとえば、日勤と夜勤の繰り返しで、自律神経が乱れて精神面での負担を感じるようになりました。また、自社で扱っているストレージ機器は他社ではあまり使われていなかったので、違う現場で使える知識が身につかないのでは、という不安も感じましたね。ワンオペ夜勤のときに、自分のスキルでは対応できないトラブルが起きて自信を喪失したこともあります」

 会社の待遇に不満はなかったものの、就業中にもかかわらず仕事がなく、自分の成長が感じられない。そんな日々がこれからも続くことに不安が募り、転職を決意したという。