定年後の再雇用、
月収は現役時代の半分以下に
「再雇用になり収入が減ったので、何とかうまく暮らせるようにしたい」と来られたのは、会社員のMさん(61)と専業主婦の妻(54)。現役時は残業なども多く、月収は手取りで約60万円ありましたが、再雇用で働く現在は約28万円。雇用契約が変わったために残業が認められず、今以上に収入を増やすことは見込めません。
下の子どもが中学3年生で、上の子が高校2年生。まだまだお金が必要です。今の収入にMさんは納得がいっておらず、何とか収入を増やすことはできないか、起業でもしようかと考えているそうです。
そのためか、支出は現役時から全く減らすことができません。妻はもう少し節約したい、支出を抑え貯蓄からの補填(ほてん)を減らしたいと思っていますが、Mさんに流されてしまっています。
支出月額は、現役時も今も、約60万円。つまり、現役時は収入を使い切ってしまう暮らし方で、今は30万円ほどを貯蓄から補てんする暮らしなのです。1年弱、この暮らし方をしてきたおかげで貯蓄は大きく減ってしまいました。定年までに貯めた貯金が約1000万円、定年数カ月後に手にした退職金が約3100万円。約4100万円の貯蓄があったはずなのに、今では約3700万円。約400万円減っているのです。これから学費の負担もあるわけで、このままではお子さんがひとり立ちする前に生活費が底を突いてしまいます。
この事態を食い止めるには、収入増を図るだけでなく、支出の削減も大切です。いろいろ提案をしましたが、あれもこれも必要な支出で、無理なく減らせるポイントが見つかりません。お子さんの塾代が10万円強、食費も12万円ほどかかっていますが、受験のため、おなかの空く年頃だから仕方がなくて必要な支出という考えです。またローン類も多く、住宅ローン、マイカーローン、クレジットカードの分割払いなどがあります。数カ月前には災害対策と副収入を期待して太陽光発電のパネルをローンで設置したそうです。これらが動かせない固定費となってしまい、家計に悪影響となっています。ローンを完済させるとか、車を手放すとか、何か一つでも思い切った支出削減をしないと、家計の改善は難しそうですが、なかなか決断できる部分が出てきません。