韓国の月城原発が放出している
トリチウムのほうが多かった
――処理水の海洋放出を巡っては、周辺国から懸念の声が上がっている。政府としてどう対処するのか。
トリチウムは自然界にも存在しており、通常の原発稼働の際にも排出されるものだ。今回放出される処理水による放射線影響は、自然界で人間が1年間に受ける放射線量2.1ミリシーベルトの10万分の1未満でしかないレベルに薄めたものだ。健康への影響はない。
周辺国からの懸念があることを承知しているが、ただ、例えば、韓国の月城(ウォルソン)原発では、1年間に液体で31兆ベクレルのトリチウムを海洋や河川等に放出している。対して、福島第一原発が発災前に液体で排出したトリチウムは2.2兆ベクレルと比較するとごく少量だ。
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処理水の海洋放出の時期について、小島副大臣に「政府内で梅雨明けとなっている」として見解を求めたところ、少し間を置き「……決まっていることは、海洋放出をするために必要なパイプラインは、今春には完成する見込みである一方、秋頃には処理水を貯蔵するタンクがいっぱいになってしまうと言われていることから考えても、その間のどこかで、放出することになる。貯蔵する余力がない以上、スケジュールに余裕はまったくない」として、否定はしなかった。
処理水が安全であることは明白であり、これ以上の停滞は許されない。ここでもし、政府が風評被害を恐れて処理水の海洋放出を延期すれば、「やっぱり危ないのだ」というさらなる風評被害が起きることになるだろう。政府には毅然とした態度が求められている。
(2023年3月10日21:09 ダイヤモンド編集部)