女性の「大腸がん」は早期発見が難しい理由Photo:PIXTA

 大腸がんは、悪性腫瘍(がん)のなかで女性の死因第1位、男性の第2位を占める。

 大腸がんは早期発見しやすいがんであり、治療方法は術式、薬物療法を問わず、がん種のなかでもトップクラスに進化している。5年生存率は、リンパ節転移があるステージIIIでも8割近くだ。

 しかし、遠隔転移があるステージIVに進行した途端1割台に激減する。本来は早期発見・治療がかなうはずだが、がん検診や内視鏡を使った二次検査の受検率が低いため早期治療に至らず、死亡数が減らないと考えられるのだ。

 大腸は小腸、盲腸から続く消化器官で、お腹のなかを時計回りに巡って肛門に続く。

 部位別にみると、お腹の右下から上に向かう「上行結腸」、そこからお腹を横切るように伸びる「横行結腸」、さらに左下に向かう「下行結腸」「S字結腸」、肛門へ向かって下に伸びる「直腸」に分けられる。

 女性の大腸がんは、男性と比較してお腹の右側、「盲腸~上行結腸~横行結腸」に生じるケースが多く、出血などの自覚症状が出にくいために早期発見が難しい。お腹の張りや硬いしこり、あるいは重度の貧血などで、ようやく見つかるケースも少なくない。

 したがって女性は、大腸がん検診を「毎年続けて」受けることが肝心だ。また、「がんの疑いあり(要再検査)」と判定された場合は、必ず内視鏡検査を受けよう。「痔かな」などとごまかしては後悔しかねない。

 一方、男性はお腹の左側の下行結腸~直腸がんが多い。こちらはわかりやすく下血や便通の異常(下痢や便秘)が出るので、早期発見しやすい面がある。やはり年に1回の検診を受け、早期発見・治療の恩恵を逃さないように。

 また男女を問わず、血縁者に大腸がん、子宮がん(子宮体がん)、胃がんの経験者がいる場合は遺伝性がんの可能性もあるので、普段から予防を心がけよう。

 大腸がん予防に効く食材は魚や乳製品、そして大豆食品だ。また食物繊維豊富なキノコ類もおすすめ。赤身肉や加工肉も、日本人の常識的な摂取量なら問題はない。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)