平均年収は自動車業界など主要産業を上回るとされるゲーム業界。では、3年後に給料が上がると予想される企業はどこだろうか?特集『50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム』(全25回)の#15では、アナリストコンセンサスを基に、統計会社おたにの協力の下「ゲーム業界版、3年後に給料が上がる企業ランキング」を作成した。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
賃上げを続けてきたゲーム業界の3年後の給料は?
アナリストコンセンサスを基に大胆試算
ゲーム業界の平均年収は、給与所得者の平均年収458万円、情報通信業632万円を上回る708万円――。これは、ゲーム業界団体であるコンピュータエンターテインメント協会(CESA)が会員企業への調査を基にまとめた数字だ。
任天堂やバンダイナムコホールディングス(HD)といった売り上げ1兆円規模の上場企業から、下請けや中小企業まで含むゲーム業界だが、その平均がこの水準というのはかなり高水準といっていいだろう。現状の平均年収で1000万円を超える企業も、ソニーグループ、バンダイナムコホールディングス(HD)、スクウェア・エニックス・HDなどが並ぶ。
また、ベアなど賃上げの動きも積極的だ。カプコンは22年度から、正社員の平均基本年収を30%増額。25年度から新卒社員の初任給を30万円に引き上げることを計画している。
セガサミーHDは23年4月から、正社員年収を平均で15%引き上げ、同年7月にベアを実施。大卒初任給は最大28%増の30万円となった。コーエーテクモHDは23年6月から基本給を約7.7%引き上げて8期連続のベアを行っている。
一方、ゲーム業界はゲームの当たり外れによって業績が大きくブレる業界でもある。最大手の任天堂でも、過去には1年で売上高が半減したり、倍増したりという激しい増減を経験している。
こうした業界だが、3年後の給料はどうなっているのだろうか。ダイヤモンド編集部では、統計専門調査会社の協力の下、24年3月期の実績値から3年後となる26年4月期~27年3月期の年収を大胆に予想した。
試算対象としたのは、東京証券取引所分類のゲームおよびCESA会員企業を中心に、ゲーム事業などコンテンツ事業が中核となるとみられる企業をリストアップし、そのうちアナリストコンセンサスによる3期先までの業績予想が出ている企業36社とした。年収が業績などに連動することを前提に、各社の公表資料を用いて重回帰分析による予測モデルを作成、アナリストによる業績予想のコンセンサスデータを当てはめて試算を行った。
その結果、これまで基本的には毎年の年収アップを維持できていた最大手企業が複数社、3年後は年収が下がるのではないかという試算結果が出た。その中には年収の実績額のランキングで首位グループに入っている最大手企業も複数入っている。
任天堂、ソニー、バンダイナムコHD、カプコンの将来年収はどうなるのか?次ページからその試算結果を見ていこう。