インフレを上回る賃上げは望み薄
資産運用の必然性が高まっている
働く多くのビジネスパーソンにとっても、このところは資産運用を行う必然性が高まっている。
厚生労働省が3月7日に発表した毎月勤労統計調査(1月分)によると、物価変動の影響を除く実質賃金は前年同月比4.1%減で10カ月連続マイナス。長引くインフレに伴い、消費増税直後の14年5月以来8年8カ月ぶりの減少率となり、われわれの懐を痛め続けているのだ。
春闘においては、歴史的高水準の賃上げを表明する大企業も散見されている。だが、日本にも本格的な物価高騰の波が襲来する中、インフレを上回るほどの賃上げは期待できないのが現状だ。
要は、働くだけでは資産を殖やそうにも限界がある。国内外企業の成長による果実を享受する形で、投資先からリターンを得て懐を肥やす必要性が、以前にも増して切実に高まっているわけだ。
インフレだけではない。投資を行う際、気に掛けるべきもう一つの大きな変化が「金利上昇」だ。
4月からは金融政策をつかさどる日本銀行の総裁が、黒田東彦氏から新たに植田和男氏へと代わる。日本国債市場では昨今、金融引き締めの方向性を見越した海外勢の投機的な取引が活発化。国債の大量購入で金利を抑えようとする日銀と、国債売りを仕掛ける市場の攻防が激化してきた。
最近では、海外ヘッジファンドが金利トレーダーの採用を強化しているとの動きも漏れ伝わってくる。日本国債の金利の急激な変動局面などを狙った、利ザヤ稼ぎに照準を合わせているためだ。
市場関係者の中には、金利の急騰局面は政策変更前後の一時だけだとして、そんなトレーダーを“季節労働者”などとやゆする向きもあるが、束になってくれば侮れない存在。政策の方向性からしても、着実に本格的な金利上昇の足音が近づいてきているのだ。
そんな新局面を迎える今こそ、気を付けてほしいことがある。証券会社などの金融機関が、あなたを新たな営業トークで“危険な誘惑”へといざないかねないことだ。
最近では、金融庁が複雑なデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだハイリスクな「仕組み債」にメスを入れ、ファンドラップについても安定型の手数料が高いとクレームをつけている。こうした表沙汰になったもののほかにも、世の中にはまだまだ手を出すべきではない金融商品があふれているのだ。