危険性の高い設備を試運転もなしに稼働させる決定を下す社長に、経営を任せるなどということはあり得ない。まかり間違ってうまくいったとしても、結果オーライにすぎない。
スペイン戦での
対策欠如で現場丸投げ
スペイン戦ではこのようなこともあったようだ。ジャーナリストの河治氏による中盤(フィールドの真ん中の領域のポジション)の守田選手へのインタビュー記事を参照したい。
スペイン戦の勝利につなげた影の転換点。守田英正に聞いた”谷口フォアチェック”の真相。
河治良幸 スポーツジャーナリスト 2022/12/2(金) 14:27
記事では、河治氏が守田選手に、前半の途中から谷口選手がスペインのガビ選手を止めたり、右側で板倉選手がペドリ選手についたりするといったチェックプレーについて、最初からのプランだったのか、それとも相手を見て途中で谷口選手らCB(センターバック)に伝えたのかを問うている。
守田選手は「言いました」と答え、左側でガビ選手が「嫌なポジション」にいることが多く、予想していたアスピリクエタ選手にボールが渡ることはあまりなかった。アスピリクエタにボールが渡っても、日本チームが容易にボールを奪取できるような位置にボールをまわすことはなく、「『どうしてもかいくぐられてしまった』。おまけに『(守口選手が対応する範囲に加えて)プラスワンで斜めのガビを見たり、奥のモラタのところを消していたんですけど、どうしてもブスケツに手が届かなくて。なので、アスピリクエタには(鎌田)大地で、ガビには(谷口)彰悟さんで、(長友)佑都さんにはウインガーの選手(ニコ・ウィリアムズ)についてもらった』」
こうしたチェックプレーが前半の鍵を握っていた、すごく良い対応だったと河治氏は言う。守田選手も、結果的にそれが奏功して、前線でボールを奪うショートカウンター(戦術)に変えることができたと認め、なかなか最後のシュートまで持っていくことができなかったが、何度かボールを奪うことができたという。「『かっさらい方などうまく何回かできたので。それは良かったと思います』」
スペイン戦での優れた守備は、選手間の情報共有と意味解釈、そして選手による選手への指示から生まれていた。昨今、軍隊や先端的な企業では、事前に決めたプランにとらわれすぎずに、現場の状況観察をもとに柔軟に対応するOODAループ(観察→情勢判断→意思決定→行動)というコンセプトを重視しようという流れが生れているが、この守田と谷口、板倉のアクションはまさにOODAの成功例である。