「見下され不安」は、相手を戸惑わせる反応を生む

 自信のない人にはおどおどしたところがあるもので、そういう雰囲気が漂う上司もいるだろう。そうした上司に仕えていると、「うっかり傷つけるようなことを言ったら大変だ」と非常に気をつかう。

 一方、同じく自信がないのに、偉そうにふるまう人もいる。本当の意味で自信のない人に限って、偉そうな態度を取ったり、自信ありげに装ったりして、虚勢を張るということがあるのだ。本人は、偉そうにすることで自分を大きく見せているつもりなのだろうが、周囲の人たちからは、返って小人物と見られてしまう。それは、虚勢を張ることで、心の中にある見下され不安が、透けて見えてしまうからである。そんな上司に仕えるのも気をつかうものだ。

 見下され不安が強いと、相手が別に見下したりしていなくても、相手が見下しているように感じてしまう。それで何気ない言葉にも、「バカにしているのか」「軽く見られているのでは?」と感じてしまい、過剰に反応するわけだ。

 心理学の実験でも、自信のある人は相手からどのように評価されているかをほぼ正確に推測できるけれども、自信のない人は相手からの評価を実際以上に低めに見積もる傾向があることが示されている。

 まだ人生経験が浅かったり、他人の心理に想像力を働かせる習慣がなかったりすると、すぐに機嫌を損ねる上司にどう対応すべきか戸惑ったり、訳が分からないとイライラしたりするかもしれない。しかしこうした心理メカニズムがわかれば、何とかうまく対処していけるはずだ。

 このような上司と上手に関わるには、相手の心理メカニズムを踏まえて、見下され不安を和らげてあげるように心がけるのが効果的である。