自分のアピールポイントを
見つける「2つの方法」

 目的地までに複数のルートがあると分かったら、次はいよいよ具体的な目的地の設定だ。佐野氏は「自分の強みが生かせる場所が良いでしょう」と言うが、自分の得意なことや武器を見つけるというのは、なかなか難しいものだ。

「自己分析は就活や転職活動において必須ですが、なにも自分一人で完結しなくていいのです。同僚や取引先からの興味、評価、依頼を、思い返してください。他者からよく褒められることや、よく頼まれることがあれば、それがあなたの“強み”といえます。面接で自己PRをする際も『人からよくリーダーシップがあると言われます』『リーダーシップを買われ、プロジェクトリーダーを任されることが多いです』と言うのなら、気恥ずかしさもなく自分の強みを伝えられるでしょう」

 他者からの評価などを思い出すほかに、より自分の強みに自信を持つ方法があるという。「仕事のみじん切り」だ。

「自分がこれまでどんな仕事をしてきたか、細かい業務まで掘り起こしてみるのです。『名もなき家事』のように、業務の前後にあるささいな『名もなき作業』もすべて書き出してください。そうして掘り起こしたなかで、職種や部署が変わっても一貫して行っていることがあれば、それも、自分の強みといえます」

「仕事のみじん切り」は学生時代、さらには幼少期までさかのぼると、「自分にはこんなに昔から磨いてきた武器があったのか」と、一貫性を感じられる。そうしてブレない軸が見えてくると、目的地も設定しやすくなるのだ。

「『自分は市場価値が低い』と思っている人は、単に、『今いる市場』では需要が低いというだけです。強みがないと思っている人でも、企業の都合でキャリアブランクと見なされている人でも、フルタイム勤務ができない人でも、その人にしかない強みと、その強みを生かせる場所は必ずあります。自分の強みと出合い直し、目的地を定め、そこに行くための最短で最適な交通手段を選ぶ。このように徹底的に準備をしてから転職を始めれば、ゼロストレスで内定をゲットできるのです」

 ゼロストレス転職のために行う準備は、自分自身と、自分のキャリアを客観的に見つめ直す時間にもなる。転職を考えている人はもちろん、健康診断のように自身のキャリアのチェックを行いたい人や、自分の武器に自信を持ちたい人にも、きっと本書が役に立つはずだ。