今日からできる! 頭の回転速度を上げるトレーニング

――何かを伝えるとき、相手に「イメージを浮かばせる」というのは、お笑いでは大事なことなのでしょうか。

本多 大事ですね。具体的にイメージできるからこそ、笑いが起きるんです。

 たとえば以前、島田紳助さんのお話で、とても印象に残っていることがあります。「道で1万円を拾った」というごく単純なストーリーだったんですが、紳助さんの表現力によって、ぐんと引きつけれるストーリーになっていました。

 再現すると、「このあいだ雨の日に、地面に紙が張り付いてんねん。なんやろなー、と思って見てみたら、1万円札に見えるんや。えっ、うそやん、と思って、傘の先でつんつんと突いてみたら、1万円札やねんこれが。誰も気づいてへんねん。すーっと破らんようにきれいに剥がしたらとって、よう見たら……やっぱり本物の1万円札や!」と、こんな感じで凄いリアリティがあるでしょう。

――たしかに、「このあいだ道で1万円拾ったんだよ」というだけとは、全然違いますね。雨の日の湿った空気感など、一気にイメージが浮かびました。

本多 今、例に挙げた具体的な描写にせよ、「たとえ」にせよ、お客さんがその場にいるみたいに、イメージを膨らませられるといいですよね。頭の中に映像を浮かべてくれるような…。

本多正識

――自分が話すときも、相手の話を聞くときも、いろいろな言葉を使って、相手とイメージの共有ができるようにする、ということですよね。となると、やっぱりインプットってすごく大事ですね……。

本多 ええ、これは本の中でも何度も強調したことですが、頭の回転の速さはほとんどの場合、情報量に比例します。どんなに頭の回転が速くても、頭の引き出しに情報が入っていなければ何も出てこない。だから私は、NSCの生徒たちに、ネットニュースはもちろん、新聞や週刊誌など、手に取れるものはすべて目を通すように口酸っぱく言っています。

 おすすめなのは、興味を持って開いていたニュースだけでなく、興味のない「前後のニュース」も合わせて読むこと。オンラインニュースなどにはリコメンド機能があり、ついつい自分が興味のあるニュースばかり読むようになってしまいます。偏った情報ばかりでは引き出しは増えないので、意図的に、興味のないジャンルもチェックするよう意識づけるといいと思います。

 今回の本では頭の回転を速くする実践トレーニング法を47紹介していますので、少しずつ、日々の習慣に取り入れていただけたら嬉しいですね。

【大好評連載】
第1回 「あの人がいるとなぜか盛り上がる」と言われる人が絶対にやらないたった1つのこと
第2回 『M-1グランプリ』出場芸人がやっている「メンタルを整えるスゴ技」
第3回 「もしかして怒ってる?」と言われたとき、コミュ力の高い人はどう返す?
第4回 コミュ力が高い人は、沈黙が苦しい相手との会話でどう返す?

だから、この本。