「やめることになりましたと報告に行ったら、『お前独立せえよ。一緒に行ったるから』と言ってくださったのです。驚きましたが、それで独立したという流れです。上原さんの鞄持ちにならないように意識したことが、信頼につながったのかもしれません」

 上原さんの一言をきっかけに、2013年に株式会社スポーツバックスを設立した澤井さん。所属アスリートは年々増えていき、現在はマネジメント事業だけでなく、スポーツ施設のコンセプトから設計までコンサルティングを行う、スポーツファシリティコンサルティングの会社も立ち上げた。

 プロ野球界では、上原浩治さんの他にも鈴木誠也選手や、同じ松坂世代で大学の同級生でもある平石洋介さん(福岡ソフトバンクホークスコーチ)も所属している。

トップアスリートから
学ぶこと

 トップレベルの選手や指導者のマネジメントを担当する中で、彼らから学ぶことも非常に多いと澤井さんは語る。

「平石は選手としては思うように活躍できなかったのですが、指導者として現在活躍してるので、野球観の話をよくします。選手への指導はどうあるべきか。平石は熱く、そして深く考えているので僕も勉強になります。

 上原浩治さんや鈴木誠也選手からは、やっぱりプロとは何かを学べますね。僕がプロ野球選手になれなかったのはこういうところなんだなと、お二人と話していると感じます。やっぱり結果を出すところにコミットしてるので、練習のための練習はやりません。

 プロ1年目にブルペンに入らないとか、普通はできないでしょう?でも『僕はこっちの方が結果が出るから』と言って、やりきった上原さんは本当にすごいですよ。

 大抵の指導者は、「なんでブルペン入らないんだ?」となるじゃないですか。でも、そこでブルペンに入らずに結果を出してきた。彼らの自分の考えを持つ強さや継続力はすごいですし、学べる点だなと感じています」

能動的に自分の考えを持って
取り組んでほしい

 京都成章時代の文武両道の経験、そして松坂世代のつながりを活かしながら、経営者として活躍を続ける澤井さん。最後に現在の高校球児へのメッセージをお願いすると、上原さんのような「自分の考えを持つ強さ」を引き合いに出しながら、熱い言葉を口にした。