二日酔いは
禁断症状のミニ版?

 それでは、二日酔いの原因やメカニズムで、現在ほかにどのようなことが分かっているのだろうか。現在、二日酔いのメカニズム(助長要因)の候補として考えられるものからいくつか樋口さんに挙げてもらった(図)。

図_二日酔いのメカニズム(助長要因)の候補本書より。二日酔いのメカニズム(助長要因)の候補 拡大画像表示

 このように樋口さんに列挙してもらったが、恥ずかしながら、ほとんどの項目が理解できない。特に分からないのが最初の「離脱症状」だ。実は、アルコール依存症の患者が酒を控えたときに起こすのが「離脱症状」つまり、いわゆる「禁断症状」なのだという。

「二日酔いは『軽度のアルコール離脱症状が原因』という説があるのです。アルコールを飲むと脳は『機能変化』を起こします。機能変化を起こした脳は、元に戻ろうとするのですが、この際に出る典型的な症状が、吐き気、動悸、冷や汗、手が震えるといったものです。こうした不快な症状が俗に言う『禁断症状』と呼ばれるもの。アルコール依存症の方はこの禁断症状に耐えることができないため、アルコールを終始飲み続け、脳が機能変化を起こしっぱなしの状態にあるのです」(樋口さん)

 例えば、酒を飲んで寝ると、寝つきはいいが、夜中に目が覚めてしまうことがある。眠りが浅くなるわけだが、これが禁断症状の一種ではないか、という説がある。

「アルコール依存症で禁断症状があると眠れなくなります。つまり、酒を飲んで寝たときに睡眠が浅くなるのは、『禁断症状のミニ版が起きている』という解釈なのです」(樋口さん)

 二日酔いが「プチ・アルコール離脱症状」なのであれば、絶対にお勧めできないのが、二日酔いでしんどいときの「迎え酒」だ。あくまで一時的だが、迎え酒をするとそれまでの不快な症状が吹き飛び、スッキリしてしまうことがある。だがしかし、これはアルコール依存症の人が禁断症状に耐えられず、酒を飲んでしまい、一時的にスッキリしたのと同じことなのだ。