西成区も見て見ぬふりをせずコミット

 後日、西成区役所に尋ねてみた。すると次のようなコメントが返ってきた。

「カラオケ居酒屋などの事業者は、民間業者に委託する形でゴミを回収するようになりました。当初は問題もあった中国系居酒屋でしたが、ルールを守るようになり、地域との関係を重視するようになったといえます」

 西成区役所は「適正な指導を続けた結果」とも話していたが、そこには橋下徹氏が大阪市長時代に行った大改革を下地とした積極的なコミットがあったことが見て取れる。

 同区は長らく“貧困と福祉の街”ともいわれ、「昔から“ややこしい人”の対応に慣れている」といった前向きな評価がある。この街には、コミュニケーションが難しい外国人をも包摂し、前向きに課題解決をする力があると捉えてもいいのかもしれない。

 今後もアジアからの定住人口が増加すれば、人口減少に歯止めがかかり、若い世代が増えて新たなカルチャーを生み出す可能性がある。過渡期的には“ニューカマー”との摩擦やあつれき、犯罪発生やルール違反もあるだろうが、同区は恐らく今後も、見て見ぬふりをせず政策的サポートで地域の発展にリンクさせていくのではないか。

 世界に目を転じれば、G7の多くの都市は外国からの人や資本の移動を新たなチャンスと受け止め、難題を抱えながらも積極的な受け入れで発展を維持している。西成区には、国際社会で進む“真のダイバーシティ”に比肩するようなダイナミズムがあり、多様なカルチャーが創る「未来都市の到来」を十分に予感させるのだ。