コーヒーは心臓に有害?無害?カフェインの人体への影響を研究した結果は…Photo:PIXTA

 コーヒー愛好家にとって心強い研究結果が報告された。コーヒーの摂取により、不整脈の一種である心房性期外収縮(premature atrial contraction;PAC)が増えることはない可能性が示されたのだ。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の教授で循環器専門医のGregory Marcus氏らによるこの研究の詳細は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」3月23日号に掲載された。

 心臓は通常、洞結節と呼ばれる部位を発生源とする電気信号によって規則的に収縮している。期外収縮とは、洞結節以外の部位で発生した電気刺激により、正常なタイミングより早くに拍動が生じる病態をいい、このうち、収縮を起こしている部位が心房の場合をPACと呼ぶ。PACは健康な人にでも生じる正常な現象だが、人によっては「脈が飛んだ」または「余分な心拍」のように感じて不安を覚える。

 また最近の研究では、PACの頻度が比較的高い高齢者では、心房細動(心房が十分に収縮できずに小刻みに震え、血液をうまく全身に送り出せない不整脈の一種)のリスクが上昇することが示唆されている。心房細動はすぐさま命を脅かすタイプの不整脈ではないものの、動悸やめまいなどのつらい症状を引き起こすことがある。また、将来的には心不全や脳卒中のリスクを高める可能性がある。