コーヒーの急性効果も検証
一方で、カフェインの有害な影響については、これまでさまざまに取り沙汰されてはいるものの、多くの研究で、コーヒーを摂取する人では、コーヒーを摂取しない人に比べて心疾患も含めたさまざまな疾患のリスクが低いことが示唆されてきた。Marcus氏は、「こうした研究はコーヒー愛好家を安心させてきたものの、欠点もあった」と指摘する。その例として同氏は、コーヒーを摂取する人と摂取しない人の間には疾患リスクに影響を及ぼすさまざまな違いがあるはずだが、それらを十分に調整できていなかった点を挙げている。
Marcus氏らは今回、ランダム化ケースクロスオーバー試験を実施し、カフェイン入りのコーヒーの摂取が心臓の異所性興奮、不整脈、1日当たりの歩数、睡眠時間、血清血糖(グルコース)値に及ぼす影響を検討した。試験に参加した100人(平均年齢39±13歳、女性51%)には、心電図を記録するデバイスと、手首に装着するタイプの加速度計、および持続血糖モニターを使用してもらった。参加者には14日間にわたって毎日、「コーヒーを摂取する/摂取しない」をランダムに指示するテキストメッセージが送られた。
その結果、PACはコーヒーを摂取した日には平均58回/日、コーヒーを摂取しない日には平均53回/日生じており、頻度に有意差は認められなかった(率比1.09、95%信頼区間0.98~1.20)。一方、心室性期外収縮が生じた回数は、コーヒーを摂取した日で平均154回/日、コーヒーを摂取しない日で平均102回であり、有意差が認められた(同1.51、1.18~1.94)。このほか、コーヒーを摂取した日には摂取しない日に比べて、1日当たりの歩数の増加(1万646歩対9,665歩)、睡眠時間の減少(397分対432分)と関連していたが、血清グルコース値との関連は認められなかった(95mg/dL対96mg/dL)。
心室性期外収縮が頻発すると慢性心不全リスクが高まるという過去の研究データがある。しかし、この研究には関与していない米コロラド大学医学部のDavid Kao氏は、「一般的な人の心拍数は、1日約10万回とされている。研究参加者の心拍数に心室性期外収縮が占めた割合は、コーヒーを摂取した日で約0.15%、摂取しなかった日で0.1%に過ぎない」と述べ、「本研究から得られた結果は、コーヒーは少なくとも心臓に有害ではないという過去の大規模研究の結果を裏付けるものだ」と述べている。同氏はまた、「この研究は、コーヒーの急性効果を臨床試験で検証した点がユニークだ」と評価している。
Marcus氏は、「これらの結果は、コーヒー愛好家が、コーヒーを飲むタイミングを自分で調整する必要があることを意味する。例えば、睡眠に問題を抱えているのなら、コーヒーは朝に飲むだけにとどめ、身体活動量を増やしたい場合には、活動を行う1時間前にコーヒーを飲むことを試すとよいだろう」と述べている。(HealthDay News 2023年3月23日)
https://consumer.healthday.com/coffee-2659613385.html
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