誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる。Voicy「精神科医Tomyきょうのひとこと」の“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
なんでも言い合える関係はいいのか?
友人関係でも恋人との関係でも、「なんでも言い合える関係」がいちばん理想的だと思っていませんか? しかし、アテクシは、それがいい関係だとは思わないんですよね。大いなる誤解をはらむ考え方だからです。
「なんでも言い合える関係」と聞くと、とてもいい関係性に思うかもしれませんが、そもそも相手になにを言ってもいいわけじゃありませんからね。だから、なんでも言い合える関係だと思っている人がいたとすると、それはたぶん勘違い。おそらく相手は大なり小なり我慢しているんじゃないかと思います。
なんでも言い合える関係の背景
自称・サバサバ系女子が「私たちなんでも言い合える関係だよね」なんて相手に同意を求め、その相手は「あ、うん、そうだね」なんて心のなかでは戸惑いながらも同意してしまう。
きっと、そんな背景があって「なんでも言い合える関係」だと思っているけれど、実際のところでは、どうしても踏み込んでほしくないところがあるものです。
相手への配慮にかけた強要
「なんでも言える関係だよね」なんて相手に同意を求める人というのは、ちょっとした甘えがあるものです。「私はあなたになんでも言うから、それを受け止めてね」と言っているのと同じだからです。
最初にそう宣言することで、自分の言うことを受け止めるように、相手に強要しているようなもの。ちょっと図々しいというか、相手への配慮に欠けているとも言えます。
どんなに親しいなかにも、相手への最低限のリスペクトの念は欠かせません。踏み込んではいけない領域がありますし、そのための距離感も大事。その距離感があるから、別に仲が悪いわけではありません。仲がいい間柄でも、距離感がいつも一定なわけではないんです。
リスペクトと配慮がいい人間関係をつくる
人間ですから、体調が優れなかったり、落ち込んだり、機嫌が悪かったりと、いろいろありますから、近づいてもいいなってときもあれば、ちょっと離れたほうがいいなってときもあるものです。
要は相手へのリスペクトの念を失わず、相手を気遣いつつ、快適でいられる距離感で過ごせるように、お互い努力できる関係というのがいいと思うんです。なんでも言い合える関係を目指すより、もうちょっと繊細に人間の関係性をとらえていくようにしましょうね。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。