勤務先の企業が
従業員に対してできることとは?
私が調査した限りでは、法で定められた介護休業制度以外に、従業員のための老親対策支援を行っている企業はありません。しかし、介護休業制度ではどうにもならず、SOSを出す社員は今後ますます増えることでしょう。これからの企業には、社員の老親リスク対策を講じることが求められると思います。
コマホに寄せられた相談のうち、すでに介護休業制度を利用した人、利用を検討中の人たちの声を拾ってみると、勤務先に求めているサポートは明らか。それは、「いつでも・何でも・気軽に相談できる窓口」の整備です。仕事の合間や休日、夜間に、電話やメール、ZOOMなどで、老親の諸問題について、状況に応じてどこで何をどうすればいいのか具体的に教えてくれるサービスが求められているのです。しかし残念ながら、社内にはもちろん、地域にもそういう場所はありません。
さらに踏み込んで、いざ事が起きてしまってから相談するだけでなく、事が起きる前に備えておくべきことをガイドしてくれたとしたら、もっと有用ではないでしょうか。また、従業員のみならず、配偶者、双方の親、さらには子どもたちまで、親子三世代が相談できるようにしたら、さらに付加価値が高まるはずです。
いつでも何でも
相談できる委託先とは
企業が従業員の老親問題対策を支援するためには、しかるべき専門機関に相談業務を委託することになりますが、どんなところが候補になり得るでしょうか。病医院、介護事業所、法律事務所、社労士事務所、税理士事務所……。いずれも守備範囲が限定的、また24時間・365日対応は困難なため、「いつでも・何でも」を満たしてはくれません。
最有力候補を挙げるとすれば、社会福祉士事務所になります。あまり認知度は高くありませんが、社会福祉士という国家資格があります。医療・介護・福祉・法律・エンディング・心理学・コミュニケーション等々に広く知識があり、地域の各分野の専門家ともネットワークを持っている相談業務のプロフェッショナルです。