社会福祉士の多くは、医療機関や介護施設、さらには行政に勤務していますが、中には独立して社会福祉士事務所を構えているケースもあります。企業は法務や税務や労務でそれぞれのジャンルの専門家と顧問契約を結んでいますが、老親問題については社会福祉士事務所と提携することで、きわめて有力な従業員の介護離職対策になるはずです。

 注意したいのは、福祉事務所ではなく、社会福祉士事務所であるということです。前者は、社会福祉法に規定されている公的機関なので、特定の企業と提携することはあり得ません。あくまでも、国家資格者である社会福祉士が構えていて、相談などの受託サービスを提供している事務所にコンタクトする必要があります。

 ニューヨークに赴任した知人の話では、米国の富裕層家庭には、医師や神父・牧師のほかに、弁護士・ファイナンシャルプランナー・ソーシャルワーカーとのパートナーシップがあるそうです。このソーシャルワーカーというのが、日本では社会福祉士になると思えばいいでしょう。

「老親問題が起きても、職場を離れなくていい」
という選択肢を

 現役世代にとって、仕事や家事をこなしながら老親問題に対応することは非常に無理があり、決して望ましいことではありません。残念な結果になってしまうケースがとても多いのです。

 介護休業制度を否定はしませんが、それだけでは足りないのです。これからの企業には、「たとえ老親問題が起こったとしても、職場を離れなくてもいい」という選択肢を用意してほしいものです。

 あなたの会社には、40代~60代の社員が何人いるでしょうか。そのうちの2~4割が、老親問題に直面しており、今後この問題はますます顕在化してくるはずです。話は簡単です。近くの社会福祉士事務所を探して、法人契約を結ぶだけです。それだけで、職場満足度が上がり、社員が仕事に集中でき、業務のパフォーマンスが向上する可能性が高まるのです。