日本の中で「孤立」する中国人マーケット

 日本で中国人が住宅を購入する場合、「そこに長年住み続ける」という目的はほとんどないようだ。前出の大川さんによると「たいていのケースは購入後、数年で転売します」という。だが、問題はこの先だ。

「転売しようとする物件は、客付け(不動産売買契約を締結する客を見つける)のため業者用の中古物件サイト(レインズ)に情報登録されるのですが、問い合わせをしようと元付け業者(客から不動産売買の依頼を直接受けている仲介業者)に連絡しても、担当者が日本語を話せず、仕事にならないのです」(同)

 ここからわかるのは、中国系不動産業者が相手にしているのはほぼ中国人客だということだ。大川さんはさらにこう語る。

「ある投資物件がオーナーチェンジの条件でレインズに載りました。ところが、売主であり貸主でもある中国人オーナーは、賃貸借契約書を提示できないと言うのです。聞けば、借主も中国人であり、口約束で貸しているが滞納は一度もしていないので大丈夫だ、と。ちなみに、この物件の元付けも中国系業者でした。表に出す物件情報もいいかげんなところがあります」

 大川さんは「中国人が関わる物件は日本人客向けに販売や賃借をしにくく、中国人の仲間内での転売や転貸となる傾向が強いです。放っておけば、日本の不動産市場の中に孤立したマーケットができていくのではないでしょうか」と懸念する。