ヤバいDX 2023#9Photo:SIphotography/gettyimages

海外大手ビッグテックやコンサルティングファームでリストラの嵐が吹き荒れるが、日本での影響はどう出ているのか。コンサル業界の大量採用の中、採用されたもののついていけず再び日本企業に転職する者や、人材不足の中、今まで手を出さなかった50~60代の採用にも動き始めたコンサルファームも。特集『企業・銀行・官公庁・ITベンダー・コンサルが大騒ぎ! ヤバいDX 2023』(全13回)の#9では、最新の「DX人材、新勝ち組・負け組」を見てみよう。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

本国リストラも、日本はまだ無風?
コンサル・DX人材の本当の需要とは

 アクセンチュア1万9000人、マッキンゼー2000人――。米国でのコンサルファームやテック企業でリストラの嵐が吹き荒れている。DXブームに乗り、高い成長率を維持してきたこれらの企業の突然の人員削減は、IT業界に衝撃を与えた。コンサルや外資IT企業は、日本のIT人材雇用の主要な受け皿となってきた。「コンサルバブル」も、ここでいったん終わるのでは、と誰もが思った。

 ところが、こと日本のDX人材市場に関しては、少なくとも今のところ不穏なニュースがほとんどうそのように、「これまでの好調がずっと続いている」と、転職エージェント各社は口をそろえる。

 事業会社も含めてDX分野での求人数は他業界の2~3倍、有効求人倍率は5~6倍にも達するという。その中でもコンサルは相変わらず好調だ。

「コンサルファームは前年比で110~120%、多い企業では180%という水準の求人数が続いており、採用を抑えている企業がほとんどない。ある大手コンサルファームでは、世界全社でいまだ年間1000人を超える人数を採用し続けており、他企業と比べても最大の受け皿となっている」と河野由花・JACリクルートメント執行役員は言う。

「ビッグ4(デロイトトーマツ、PwC、EY、KPMG)などでも軒並みかなりの数の求人説明会を開き続けており、ずっと大量募集を続けているように見える。コンサルの募集単価も2017年以降ずっと右肩上がりで、最近さらに上昇速度が加速しているほど」と、イントループの曽根竜平ディレクターも言う。

 実際にIT業界の現場でも、リストラ人材が溢れて行き場がなくなる、というようなことは起きていない。むしろ「レイオフがあるかと思ったのに採用を去年より増やしている」(IT業界関係者)という声の方が多いのだ。

 世界のリストラの波が日本にはまだ届いていないのか、それとも日本だけの特殊事情があるのか。取材を進めると、無風に見えるIT人材市場にさまざま変化が生まれてきているのが分かった。次ページから詳しく解説していこう。