パソコンの前で頭をかかえる男性写真はイメージです Photo:PIXTA

1万2000人の行動分析を行ってきた越川氏によると、仕事でITツールを使いこなしている人は全体でたったの24.3%しかいないという。ITツール導入の障害となる「昔のやり方にこだわる社員」を心変わりさせる方法とは――。

※本稿は、越川慎司『仕事ができる人のパワポはなぜ2色なのか?』(株式会社アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。

ITツール導入を妨げるのは
実績のあるベテラン社員

 たとえば、あなたが、社内でメールからチャットへと移行するプロジェクトリーダーになったとします。

 あなたは、社内に「メールからチャットへ移行したい」旨を周知しますが、必ず、こう言ってくるベテラン社員(管理職も含む)がいます。

「メールに慣れているのに、なんでチャットに変えなくちゃならないんだよ。どうしても移行するなら、ちゃんと説明会を開け!」

 ところが、いざ、説明会を開くと、そんなことを言っていた人ほど、参加してくれないのです。あなたにしてみたら、「おいおい、あなたが言うから、わざわざ、説明会を開いたのに、どういうこと?」ですよね。

 でも、そういう反対派の人は、チャットについて知りたいわけではなく、導入に反対することが目的ですから、説明会に参加しないのも道理なのです。

 そんな反対勢力の社員や上司は、説明会に参加しても、これ見よがしに居眠りをしたりして……。とにかく嫌なものは嫌、まるで「こども上長」です。

漫画_子ども上長もっともらしい理由を並べ立てる上司は、ITツール導入に対して「なんとなくイヤだ」と思っているだけかもしれない 拡大画像表示

 上の漫画のでぶどり君の上司もそんな人のようですね。現実の上司はさらに「ダメである理由」をこじつけてくる分、よりやっかいです。

 偏見ではなく、過去に実績を残したことがある年配社員が反対勢力になりやすいと思います。やはり、ベテランほど、ずっとやってきた仕事のやり方が変わるのが嫌で、新しいITツールにアレルギーを持っているようです。

 でも、実は、内心では「導入したら、今より便利になるかも」とか「簡単にわかるなら、うまく折り合いをつけたい」なんて思っているものなのです。それなのに、昔の成功体験やプライドが邪魔して、導入に反対する自分をどうしようもできない。

 この人たちを説得しないと、せっかくITツールを導入しても社内に浸透せず、使っているのは2割の人、という事態になってしまいます。