「お試しクーリングオフ作戦」で
ITツールを導入
いったいどうやって、こうした抵抗勢力に動いてもらえばよいのでしょう?
「明日から、社内メール禁止です」なんて強引なことをやると、反対派の人たちの火に油を注ぐことになってしまいます。合意がない状態で、会社の幹部が職務権限で実行するのは、それこそプライドの高いベテラン社員との間に、わだかまりが生まれてしまうかもしれません。
ですから、「まず、1週間だけ試してみませんか?」と持ちかけるのです。1週間ではハードルが高いというのであれば、「今度の水曜日だけ使ってみませんか?」でもオーケー。
とにかく、相手が「それくらいなら、やってやってもいいか?」と思う「お試し案」を提示する。そして、こう続けるのです。
「使ってみて、不便だったら、導入はやめましょう」
使ってみてダメだったら返品可能という、言わば「お試しクーリングオフ」の実施ですね。こう言えば、反対勢力は、「導入阻止のよい言い訳ができるかも」なんて考えて、たぶん、お試し実施を承諾してくれます。
新しいITツールを導入するときのポイントは、まさにここ。とにかく、1回でもよいので、実際に使ってもらう機会をつくることです。期間を決めて、徐々に経験を積んでもらうのです。
お試しクーリングオフ作戦で、1度でも使ってもらえたら、しめたもの。期限を決めて導入したあとで、アンケートを取ると、8割以上の人が「意外とよかった」と回答してくれます。
面白いことに、ガチガチの反対勢力だった人ほど、肯定的な答えをしてくれるもの。しかも、お客様先で、「ウチもやっと○○を導入しましてね」なんて自慢までするのです。
アレルギーを持っている人にITツールを使ってもらうコツは、「学習してもらう」のではなく、「慣れてもらう」ことです。
たとえば、リモート会議Zoomの説明など、資料で説明しようとすると、とてもわかりにくい。でも、「1回だけ参加してみてください」と言って巻き込むと、案外、簡単に慣れてもらえます。まさに、「習うより慣れろ」なのです。
苦手だった人ほど、「今度の会議もZoomがいいね」なんて言いはじめます。