挑戦を続けるプリキュアシリーズ
ついに男の子のプリキュアがレギュラー入り
今年4月には、プリキュアの新シーズン『ひろがるスカイ!プリキュア』がスタートした。プリキュアは女の子が戦士となって戦うアニメであるが、この新シーズンに男の子のプリキュアがレギュラー入りした。
キュアウィングと呼ばれるその男の子は決して雄々しくなく、中性的な見た目をしている。正体は鳥形の妖精で、人の形になると中性的な少年になるのである。キャラクターのビジュアルが発表された当初は「かわいいボーイッシュな子がきた!」と喜ばれたりしていたが、それが男の子だと判明してプリキュアかいわいに激震が走った。
男の子のプリキュアは実はこれが初めてではなく、5年前のシーズン『HUGっと!プリキュア』ではキュアアンフィニという男の子のプリキュアが登場し、ジェンダーレスのテーマに真っ向から切り込んでいた。当時かなり話題となっていて、今でもネット検索すれば当時の記事をたくさん見つけることができる。
ただし、今年の新シーズンのキュアウィングは、キュアアンフィニと違い、“レギュラー入り”した。これについて、多くのファンがさまざまな意見を発信した。
「プリキュアにその要素(ジェンダーレス)は求めていない」などの拒否反応は多く、「プリキュアを巡ってファンが対立しているのが悲しい」と憂う声や、「悲しいも何も、子ども向けアニメに対して大人が騒ぐのはやめましょう。子どもが受け入れて楽しめればそれでよし」などの指摘があり、議論はやまなかった。
キャラのジェンダーレス化はここ数年で始まったので、それ以前までの「男女の性差が明確なキャラクター像」を血肉として育ってきた層にはまだ違和感をもって受け止められるが、今後は当たり前のこととして慣れるかもしれない。
いずれにせよ、多様な人が存在する社会を包摂する方向で世の理解が進むのは喜ぶべきことである。慣れない光景に違和感を持つ人の気持ちは、筆者も大いに共感する。しかし、その成果を見れば、許容できる範囲が増え、憤りがなくなり、心が少し健やかになるかもしれない。