娘2人の教育費は
総額でどれくらいになる?

 この前提条件のもとで、まずはFさんが仕事を引退する60歳までの家計収支を試算してみます。

 ここで一つ注意しておきたいのが、娘さんたちの成長に伴って、Fさん一家の教育費が毎年細かく変動することです。教育費の時系列変化を追っていくと試算が複雑化しそうなので、今回は便宜上、次の3段階に分けて説明します。

・ステップ1:教育費が発生しなかった場合の金融資産額を算出する。
・ステップ2:長女・次女の教育費をまとめて算出する。
・ステップ3:ステップ1で算出した金融資産から、ステップ2で算出した教育費をまとめて引き去り、金融資産額の予測値を求める。

 まずはステップ1から見ていきましょう。

 先述の通り、現時点での娘さん2人の教育費(年間)は計130万円です。この金額が発生しなかった場合、年間黒字額は312万円+130万円で442万円になります。

 あくまで仮定の話ですが、この貯金をFさんが60歳になるまで続けると、442万円×17年=7514万円を現在の金融資産に上乗せできます。

 Fさんが現在保有している金融資産額は4600万円なので、これに7514万円を加えた1億2114万円が、教育費が発生しなかった場合の全財産になります。

 次にステップ2です。

 長女は現在高校2年生なので、卒業までにあと2年分の学費(計140万円)が必要です。

 塾代は、今年は従来通り50万円、受験生(高校3年生)になる来年は2倍の100万円とします。

 長女の高校卒業までに必要な教育費は、140万円+50万円+100万円で290万円です。

 では、大学入学後の教育費はどうなるでしょうか。

 理系の私立大学の学費は、平均すると4年間で約680万円(入学金を含む)、大学院は約235万円になるようです。合計すると約915万円がかかります。

※学部や専攻によって変動するため、あくまで参考値としてお読みください。同じ大学の院に進む場合は入学金が免除されるケースも多いので、入学金は学部のみとしました。

 前述の290万円にこの915万円を加えた1205万円が、今後見込まれる長女の教育費の合計額です。

 では、次女の教育費負担を考えていきましょう。