大谷翔平も実践“JUST DO IT”、ハイパフォーマーの「思考・行動様式」に学べDiamond Images / Gettyimages

継続的に優れた結果を出す人が持つ考え方や行動を可視化するハイパフォーマー分析。思考・行動様式に違いはあるが、「柔軟に方向転換する」「人との縁を大切にする」など共通する項目も7つ存在する。その中から、一番初めに磨かなければならないポイントを紹介しよう。

※本稿は、増子裕介、増村岳史『ハイパフォーマー思考 高い成果を出し続ける人に共通する7つの思考・行動様式』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

「なんとかなる」
と思ってやってみる

 7つある項目のうち、「『なんとかなる』と思ってやってみる」を最初にもってきましたが、この順番には意味があります。なぜなら、「あらゆるサクセスストーリーは例外なく、『まずやってみること』からスタートしている」という絶対的な真理が存在するからです。

 米メジャーリーグで2021年シーズンのMVPを獲得するなど、大活躍を続けている大谷翔平の投打二刀流も、高校時代の当人が「自分は必ずできる」と信じたことが全ての始まりです。ファイターズの栗山監督やエンゼルスのマドン監督が二刀流を認めてくれたことも大きいですし、他のチームであればピッチャーかバッターのどちらかに専念させられた可能性もありますが、まず大谷本人が「なんとかなる」と思い続けなければ、こうはなっていません。

 たとえば大谷と同じく高校からドラフト1位でプロ入りし、日米通算170勝を挙げた松坂大輔も高校時代は「エースで4番」でしたが、周囲の関係者がどうこう言う以前に、当人にその意思がなかったから、プロではバッティングをあきらめてピッチャー専任となったわけです。

 東京六大学野球で48勝(江川卓の47勝を上回る歴代最多記録)を挙げ、複数のプロ球団がドラフト1位指名を検討していたと言われる逸材でありながら、ノンプロの住友金属に進んだ山中正竹(故人)はこう述べています。

「プロ野球に行って、そのまま大学時代のボールが通用するかといえば、とんでもない。私の記録を見て、若い人に『どうしてプロに行かなかったんですか?』と尋ねられることもありますが、現役時代の実力を知らないから言えることですね」

「大学時代に抑えたバッターがプロ野球で活躍するのを見ても、『彼らができるのなら、よし、俺だって』とは思わなかった。『プロ野球で努力して、ステップアップしたんだな』と素直に考えていました」

 目の肥えたプロのスカウト達が「プロ入りすれば1年目から二桁勝利を期待できる」と評価していたのですから、技術面やフィジカルにおいては間違いなく一級品だったのでしょう。ちなみに、東京六大学で同時期に活躍した明治大学の星野仙一はドラフト1位でプロに進み、沢村賞を獲得し、最終的には146勝を挙げた名投手ですが、大学時代の勝ち星は23でしかなく、山中には遠く及びません。六大学野球の全体的なレベルも今より遥かに高かった時代の48勝ですから、相当な価値のある数字です。