「終電ギリギリまで残業しているのに仕事が終わらない人」が、「必ず定時で帰るのに成績No.1の人」に変わるためには、どうしたらいいのだろう?
そんな悩みへの実践的な解決策が、『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』では見事に解説されている。
著者は、北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長・木下勝寿氏だ。
本書はベストセラーとなっている、多くの経営者からも評判の一冊だ。TBSテレビ系『がっちりマンデー!!』のSNSでは「食べチョク」秋元里奈代表が、「2022年に読んだオススメ本3選」として本書を紹介した。木下氏は、秋元代表にとって尊敬する経営者の一人だという。
そこで本連載では、多くのビジネス書を読み、経営の勉強をしてきたという秋元代表に、『時間最短化・成果最大化の法則』の活用術を教えてもらうことに。自身も著書『365日 #Tシャツ起業家』でその仕事論を綴った秋元代表は、先輩経営者の思考術をどう読み解いたのか。連載5回目は、「『すぐやる』ができない人の特徴と圧倒的に仕事がデキる人の特徴」を聞いた。(構成・川代紗生)

圧倒的に仕事がデキる人が「速さ」より大切にしていること

「すぐやる」ができない人の共通点

──仕事を振られたら「すぐやる人」と「なかなか動き出せない人」がいます。

 秋元さんは、若手社員の頃から「すぐやる」を意識していましたか?

秋元里奈(以下、秋元):入社1年目の頃はできておらず、いろいろ失敗もしました。

 完璧を求めすぎ、行動が遅くなっていました。

 学生時代はどちらかといえば優等生タイプで、「正解」のある問題を解くのは得意でした。

 たくさん勉強もしたし、どう振る舞えば先生の心証をよくできるかも、心得ていたと思います。

 でも、その頃の癖を引きずったのか、社会人になってからは、完璧主義がネックになりました。

 仕事は勉強と違って、答えにたどり着く道順がわかっているものばかりではありません。

 抽象度の高いお題に取り組むときは、上司すら答えを持っていないこともあります。

 前職のDeNAでは、入社1年目から抽象度の高いお題を、バンバン振られていました。

 よく覚えているのは、「売上が低い部門の、売上向上策をゼロから考えて全部やってくれ」というもの。

──入社1年目からそのレベルの仕事を任せてもらえたんですね。

 大変だけど、かなり鍛えられそうですね。

秋元:入社前からDeNAは社員に対して「成功確率50%の仕事を委ねる」と聞いていましたが、実際に働き出しても、まさしくそのとおりでした。

 毎日が刺激的で、本当に良い経験をさせてもらえたと思います。

 ただ、慣れないうちは大変でした。

 新卒社員だと知識も足りないので、完璧なアイデアなんてすぐには思いつかないんです。

 でも、私は学生時代から完璧を追い求める癖を捨てきれず、1週間経ってもまったく答えが出せないことがよくありました。

 本当は、ざっくりした案だけ早めに先輩にぶつけ、キャッチボールしながら変えていけばよかったのですが、私は1回1回、120%のアウトプットを出さないと気がすまなかった。

「期待値を上回る仕事をしなきゃ」とがんじがらめになっていたのです。

圧倒的に仕事ができる人が「速さ」より大切にしていること

──期待を超えようとする姿勢そのものは大事ですが、どのように考え方が変わったのでしょうか。

秋元:仕事って、最初の1回目で120%、アウトプットしなくてもいいんだ、と思えたときに変わりましたね。

 これは学生時代まではまったく考えもしませんでした。

 完璧に終わらせることより、ほんの少しでも早く着手することを重視するようになりました。

──そういえば、『時間最短化・成果最大化の法則』の木下社長も、「速さ」より「早さ」を重視するとおっしゃっていて、今、秋元さんの言と通じるところがあります。

秋元:「速さ」より「早さ」?

──はい。「社員に1時間でできる仕事を30分でやってと言ったことはない。つまり、社員に仕事の『速さ』は求めていない。それより大事なのは着手の『早さ』。着手が人より早ければ早いほど、業務の優先順位を上司と確認できる回数が増え、仕事の精度が上がる。業務自体をこなす『速さ』より、『着手が早い人』をどう育てられるかがカギだ」と。

秋元:そうですね。『時間最短化・成果最大化の法則』でも書かれていましたが、作業スピードは、実はそれほど差を生まない。

 作業範囲を細かく分割し、「まずは今日、1時間だけやろう」と決め、とりあえず手をつけるのがすごく大事だと思います。

 いきなり100%を目指さずに、5%ずつでもいいから進めましょうと、私も新入社員たちによく伝えています。

 真面目な人ほど、自分を追い込みすぎてしまうもの。

「すぐやる」習慣は日々の訓練次第で身につくので、入社してまだ日が浅い人たちにこそ、この本を手に取ってもらいたいですね。