一つは、値上げ幅が「エグい」こと。ドコモの機種変更では1.75倍に値上げされますし、ATMで他行に現金を送る場合は2.35倍になります。
値上げラッシュとはいえ、世の中のインフレ率は対前年比で1.03~1.04倍(3月の消費者物価指数は対前年比で3.2%増)です。
悪い評判が立った電力会社の値上げでも1.18倍(正確には17.6%で申請中)なので、今回紹介するこの二つの値上げ幅は、世の中の水準と比較して驚がくすべき値上げ幅になっていることがわかります。
変わらず無料のメニューは
「重荷切り捨て」のためにある
もう一つの共通点は大幅値上げとなるメニューがある一方で、「これまでどおり無料」のメニューが併存していることです。
ドコモではネットから申し込めば事務手数料はあいかわらず無料、三菱UFJ銀行ではカードでの振り込みやネットからの振り込みの場合の手数料は大きくは変わりません。
この二つの共通点から推測できる「これから起きること」は何でしょうか? それは大幅な値上げに辟易(へきえき)した利用者が、値上げしたサービスを使わなくなることです。
「顧客が使わなくなるような値上げって意味があるの?」と疑問が湧くかもしれませんが、経営戦略上はこれが大いに意味を持ちます。企業の側から見れば経営の重荷になるサービスを切り捨てることができるのです。
歴史的に見れば、ドコモショップはドコモの成長に欠かせないチャネルでした。また、ATMは銀行の利便性や生産性向上に欠かせない道具でした。しかしどちらも近年、経営の重荷になりかけています。