なお今年4月(1~25日までの速報値)の輸送量は東京口が86%、大阪口が89%で、ゴールデンウィーク(4月28日~5月7日)に限れば、全体で101%とコロナ前を上回る利用を記録している。
ただ下期に90%を目指す上での懸念は、土休日が94%(4月1~25日の輸送量)なのに対して平日は82%にとどまっているように、ビジネス需要の戻りが悪いことである。
2022年度の輸送量を月別に比較すると、土休日は9月から80%を超えていたが、1月は86%、2月は91%、3月は97%と冬に入って一段と回復したのに対し、平日はようやく10月に70%を超えたものの、12月と3月に85%を超えた以外は76%にとどまっている。
JR東海は東海道新幹線7号車の一部シートで、パソコンを使用しやすいテーブルに交換し、3人掛け座席の中央にパーティションを設置した「S work Pシート」のサービスを今年10月から開始する予定で、同時に「N700S」車両全編成に「ビジネスブース」設置を進めるなど、新たなビジネス需要を開拓している。
一方、決算説明会で今後、「グリーン車の上級クラス座席の検討」を進めると表明。また4月8日から6月30日まで東海道新幹線のグリーン車2席を1人で利用できる「EXグリーンプラスワン」サービスを試行するなど、ビジネス需要の減少で生じる「余剰輸送力」の高付加価値化を進める意向だ。
鉄道事業者にとって2023年は、異常な3年間が過ぎ去り、日常が戻ってくることへの期待が高まると同時に、何が戻ってきて、何が戻ってこないかを見極める重要な一年になるだろう。