NISA口座獲得競争の現状

 これまで、一般NISAは年間120万円を5年(通算600万円)、つみたてNISAでは年間40万円を20年(通算800万円)までと、現行のNISAは投資規模が小さかった。また、時限措置でもあり、既存の金融機関が口座獲得に今一つ本気にならない理由があった。

 しかし、新NISAでは年間投資額が360万円、一人の投資家の投資枠は最大1800万円まであって、制度は恒久で、税制優遇される運用期間は無期限である。これは、無視できないビジネス機会だ。

 変更手続きをしなければ、24年から同じ金融機関で新NISAに移行できるとすると、現在NISA口座を持っている金融機関が競争上有利だ。現在のNISA口座の陣取り合戦はどのような戦況なのか。

 現状は、インターネット証券大手2社の圧勝だ。ネット証券最大手のSBI証券が316万口座で、業界2位の楽天証券がNISA口座の獲得数ではSBIを上回っていて409万口座を獲得している(共に22年12月末)。

 これに対して対面営業の金融機関はどうか。証券会社では、野村證券が163万口座(23年3月末)、大和証券が65万口座(22年12月末)、SMBC日興証券が69万口座(同)、みずほ証券が27万口座(同)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が21万口座(同)という水準だ。一方、メガバンク本体では、三井住友銀行が46万口座(同)、三菱UFJ銀行が42万口座(23年3月末)、みずほ銀行が39万口座(同)といった口座獲得状況だ(数字は「金融財政事情」5月2・9日合併号による)。大手証券、3メガバンクおよびその子会社証券を全て合わせても、ネット証券大手2社の合計獲得口座数に及ばない。

 こうした状況がどうなるかが当面の見所となる。