投資家サイドとしては
2023年にどうするか?

 では、立場を入れ替えて、投資家の側ではどうしたらいいのか。制度最後の年になる一般NISA、つみたてNISAを利用すると、税制優遇された投資額が増えるから「今年のNISAを利用しよう」という方針はいい。ついでに、今年中にNISA口座を持つ金融機関を選んでおくなら、来年は手続きなしでその金融機関を使えるという利便性も利用していいだろう。

 投資家が決めるべきことは、(1)新NISAでも利用する取扱金融機関の選択、(2)投資方針の確立と必要ならその準備、(3)現行の一般NISA、つみたてNISAの選択と利用法の決定、の3点だ。

 まず、利用する金融機関の選択だが、これはネット証券を強くお勧めする。理由は先ほど説明した金融機関側のビジネス的なモチベーションだ。

 おそらく9割以上の投資家にとって新NISAは、積み立て投資枠でも成長投資枠でも同じインデックスファンド(全世界株式に連動するものをお勧めする)に投資することが好ましい。しかし、対面営業の金融機関を使うと、余計なセールスを受けて時間と手間を取られた上に投資を間違える公算が大きい。

 なお、ここで一点、筆者が楽天証券と利害が近いこと(4月から同社の社員ではないが同社と業務委託契約を結んでいる)を申し上げておく必要がある。この点も踏まえて、筆者を大いに疑った上で、理由を考えてご自身で取引金融機関を決めてほしい。

 あえて声を大にして(精神的には少し無理をして)言うが、読者には、SBI証券を選んでいただいてもいい。スケールメリットが働くビジネスなので、顧客にとってより安心なのは口座数を多く持っているネット証券だろう。事実上、SBI証券か楽天証券かの二択だ。便利な方、好きな方を選ぶといい。