「カエル混入」がゼロになるのは無理?問われる飲食店の姿勢

 今回の騒動前の5月11日、長野県上田市内のスーパーで売られていた「緑黄色野菜がとれるパリパリ麺のサラダ」という商品にカエルが混入していた。これを製造したのは、松本市でコンビニの弁当などを納入している食品会社なので、やはり「業務用カット野菜」を用いていた可能性が高いだろう。

 報道によれば、このカエルは国内に広く分布する体長2〜4センチほどの「二ホンアマガエル」でちょうど5〜6月に繁殖で大量発生する。ある専門家は、「自然由来のものに虫やカエルが紛れ込むのはしょうがない」という主旨のことを言っていた。

 実際、この時期のカエル混入は数年前も起きている。2018年5月にはガスト南熊本店の「チーズINハンバーグ&海老フライ弁当」の中にカエルの死骸が入っていた。厨房にカエルが入ることは考えにくく、これもやはり原材料由来、つまりはカット野菜に紛れ込んだものだろう。

 このような傾向は、日本だけではない。

「クーリエジャポン」の『カット野菜に隠れた「別の緑」の正体は…カエルだった!』(19年7月30日)によれば、アメリカで動物科学を専門とする4人の研究者らが調査をしたところ、2003~2018年の間にカット野菜に、ネズミや虫などの動物が混入したケースが40件報告されていたという。そしてうちなんと20件はカエルなどの両生類だったという。

 これはあくまでネットなどで話題になったものだけなので、実際はもっと混入している可能性が高い。アメリカは日本よりも早く80年代から「カット野菜」が普及しているので、安全管理もそれなりにしている。にもかかわらず、これだけの異物混入が確認されているということは、「カエル混入ゼロ」はかなり難しいということだ。

 カエルや虫を殺すような殺菌をすれば当然、人間にも何かしらのマイナスの影響があるだろう。AIやセンサーなどで確認するといったところで、機械である以上どうしてもミスもでてくるはずだ。野菜という自然由来のものを、できる限り新鮮に、かつ大量にパッケージをして市場に出すということをやれば、一定の割合でカエルや虫はくっついてくるものなのだ。冷静に考えれば当然のことだ。

 つまり、これからも毎年5月や6月になると「カエル混入カット野菜」は市場に出回るということだ。しかも、賃金が上がらない「安いニッポン」において、外食の安売り競争は今後も激しさを増していくので、効率化やコストカットの流れからも「カット野菜」の需要は今後さらに高まっていくだろう。その時、飲食店は「検品」だけで乗り切れるのか。

 食材のようで食材ではない、原料のようで原料でもない。異物混入リスクが高いわりに、責任の所在があいまいな「カット野菜」が引き起こす騒動は、今後も増えていくのではないか。

(ノンフィクションライター 窪田順生)