朝1杯の牛乳が夜の安眠をもたらす
寝る前のホットミルクより効果が高い

 夜、布団に入ってもなかなか寝つけないとき、温めた牛乳を飲むとよく眠れると聞いたことはありませんか。これは、カフェインを含まない温かい飲み物を飲むと体温が上昇し、その後体温が下がっていく過程で眠気を誘うという昔ながらの知恵。お腹が空いて寝る前に何か食べたくなったときも、熱々のホットミルクを飲むと満腹中枢を刺激してくれるので、夜食を食べずに乗り切れます。

 でも、牛乳は夜飲むより朝に飲んだほうが、安眠効果が高いのです。牛乳には体内で生成できないトリプトファンという成分が含まれていて、セロトニンのもとになります。セロトニンは先にお伝えした通り心のバランスを整えてくれるホルモンの1つで、このセロトニンが、さらに睡眠ホルモンであるメラトニンへと変わります。だから、牛乳が安眠に役立つのですが、体内に入ったトリプトファンがメラトニンとして分泌されるまでには14~15時間ほどはかかります。つまり、夜寝るときにメラトニンを分泌させるには、牛乳は朝に飲むのがおすすめというわけです。しばらく続けていると、寝つきがよくなってぐっすり眠れていることに気づくでしょう。

朝バナナと夜キウイで良質な睡眠
手軽に食べられて心もお腹も整う

 睡眠の質のために重要なトリプトファンは、どんな食べ物に含まれているのでしょうか。実は、牛乳や乳製品のほかにも、大豆やカツオ、レバー、そばなどたくさんあります。ですので、バランスのよい食生活を送っていれば特に意識する必要はありません。とはいえ、時間に追われがちなライフスタイル、外食や好き嫌いが多いなど、色々な事情で食生活は乱れがち。また、メラトニンに変わるまでの時間を考えると、トリプトファンが多い食べ物はできれば朝にとるのがおすすめです。なかでも、忙しい朝でも手軽に食べられるバナナは最適。バナナは糖質も豊富なので、血液中のトリプトファン濃度を効率よく高め、脳内でのセロトニンの働きを促します。

 寝る1~2時間前におすすめなのがキウイフルーツです。メラトニンの原料になるセロトニンのほか、抗酸化作用のあるビタミンC、E、葉酸が豊富。「アクチニジン」という酵素も含まれており、コップ1杯の水と一緒にとれば消化促進効果も高まります。

 バナナとキウイフルーツは食物繊維も多く、腸内環境が整うのでメンタルの改善にも繋がります

しらすと大豆が自律神経の調子を整える
心身の栄養補給でストレスを緩和

 睡眠と覚醒のリズムは、ホルモンだけでなく自律神経のバランスにも大いに関わっています。自律神経失調症などの治療で効果を発揮する漢方医療の観点から、心の不調を解消して安眠に導く食材をとり上げましょう。

 漢方では、イライラしたり気分が落ち込んだりするのは、「気(き)」や「血(けつ)」が不足している状態と考えます。そんなときは、しらすがおすすめ。しらすは体に色素がない白い稚魚の総称で、さっと釜茹でしたものは「釜揚げしらす」、それを干したものを「しらす干し」、しっかり乾燥させると「ちりめんじゃこ」と呼びます。しらすはたんぱく質をはじめ、脂質、ミネラル、ビタミンをバランスよく含んでおり、「気」「血」を補って自律神経を整え、ストレスを緩和する効能があります

 また、大豆も「気」「血」「水すい」を補いつつ、自律神経の働きを正常に保つ働きがあり、ストレスによって生じる様々な不調の改善に効果を発揮する食材です。この2つ以外にも、ウナギや牛乳、れんこんなど、自律神経失調症の症状を緩和するといわれる食材は豊富にあり、それらの食材と組み合わせることで、さらなる効果に期待ができます。