睡眠は決して無駄な時間ではなく、脳の休息や記憶の定着、病気に対する抵抗力、作業効率を高める集中力など、重要な役割を担っています。よりよい睡眠のために今日からできることを考えてみましょう。
睡眠のリズムと質を高める「体内時計」
朝寝坊はせずに日光を浴びる
休日に朝寝坊をして、睡眠不足を補おうとしていませんか。実はこの行動は体内時計を狂わせ、睡眠の質を低下させてしまいます。
睡眠・覚醒のほか、体内の様々な生理機能は約24時間周期の概日リズム(サーカディアンリズム)によって整えられており、これを「体内時計」と呼びます。24時間よりも少し長いため、日頃からリセットが必要なのですが、朝寝坊をしてしまうと、さらに睡眠や覚醒のリズムが乱れやすくなります。
体内時計のリセットに有効なのは、朝起きたら日光を浴びること。日光を浴びると、15~16時間後に眠気を誘う作用がある「メラトニン」というホルモンが分泌されます。これにより、夜はスムーズな入眠が可能に。朝寝坊をするよりも朝はしっかりと起きるほうが、体内時計もリセットでき、良質な睡眠をとることができるのです。
また、スヌーズ機能の使用もNG。アラームが鳴ったとたん交感神経が優位になって体は活動態勢に入るのに、スヌーズに頼って再び寝てしまうと、今度は副交感神経が優位に。この繰り返しが自律神経を混乱させて、心や体にストレスを与えてしまいます。
「デジタルデトックス」をしよう
液晶画面は22時までに消す
夕食や入浴を済ませて後は寝るだけ……。このひとときは、全てから解放される自分だけの時間。スマートフォンをベッドに持ち込んで好きなゲームに熱中したり、お気に入りのSNSを眺めたりして過ごす人もいるでしょう。でも、寝る前に液晶画面を眺めていると、メラトニンの分泌を抑制するブルーライトを浴びるため、スムーズな入眠を妨げます。夜間モードにすればブルーライトを抑えられると思うかもしれませんが、それでもNG。多量の情報は脳を過剰に覚醒させるため、自律神経のバランスが乱れて睡眠の質を悪くしてしまうのです。
メラトニンが最も分泌されるのは22時から夜中の2~3時。なので、スマートフォンやパソコンなどは、遅くとも22時までに消しましょう。また、休日にデジタル機器に触らない「デジタルデトックス」をするのもおすすめです。スマートフォンやパソコンなどは確かに便利ですが、長時間使用していると脳が慢性疲労を起こして、記憶力や判断力、集中力が低下します。最初は落ち着かず不安かもしれませんが、デジタルデトックスは心の毒出しに効果の高い処方箋です。