今期は14社中10社が増益見込み
運輸セグメントの増益がけん引
これらを踏まえて2023年度セグメント別営業利益の業績予想を2022年度実績と比較しながら見ていこう。業績予想を開示していない東京メトロを除く14社中10社が増益で、東急、近鉄GHD、京成、西武、京急は100億円以上を予想している。
増加分の多くが運輸セグメントによるもので、東急、京成、近鉄GHDは100億円以上、京王と京阪HDを除く9社が増益だ。私鉄経営において鉄道と両輪の関係と言える不動産セグメントはおおむね横ばいか微減だが、東西の不動産事業の先駆者と言える阪急阪神HDと東急は分譲販売戸数の増加で増益を見込む。
減少が目立つのはレジャー関係のセグメントだが、これは旅行事業を抱える阪急阪神HD、東武、近鉄GHDが、自治体からの新型コロナ支援業務を受注して大きな利益を上げていたことの反動減だ。
また、国際物流セグメントが大きな利益を上げていた西鉄が貨物需要の鎮静化(航空貨物運賃下落)により約100億円の減益を予想しているのに対し、近鉄GHDは100億円の増益を見込んでいる。決算資料によれば、これは「価格競争の激化による販売価格の正常化に伴い減収傾向が予想されるものの、前年7月に連結子会社化した近鉄エクスプレスの業績が当期は通年で寄与するため」だ。
コロナ禍で青息吐息だった鉄道グループを下支えした国際物流部門は、収束とともに再び日陰の存在になってしまうのか。物流関係者に話を聞くと、コロナ特需は昨年末に収束したものの「高付加価値貨物を扱う航空貨物は海上に比べ値崩れは限られる」として、「堅調な通常時に戻るのではないか」と解説する。バブルとも言える状況は終了しても、今後も一定の存在感を発揮しそうだ。